【緊急提言】シンガポール在住の元参院議員が語る「日本が勝負すべきはアジア」

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アメリカ市場で日本人が勝つのは相当厳しい

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」
第142号(2014年12月5日号)』

アメリカの某有力シンクタンクからオファーがあり、インタビューを受けてほしいと。非常に面白いポジション。アメリカにずっと滞在する必要はないが、シンガポールからアメリカに行き来するポジション。まあまだインタビューを受けてみないと内容は正確にはわからないが、ここはアメリカの次代の情報を最も持っているところ。場所もいい(笑)。

この話を聞いた時にじっくり考えた。アジアには頭数という非常に大きな資源があるが、足りないものもたくさんある。日本は長く厳しい時代が来ると思う。欧州はまだまだ時間がかかる。これからの時代に最も必要な資源と素養を持っているのはアメリカなのかもしれない。覇権国家としての力は落ちても経済的にはやはり圧倒的に強いと思う。これからの時代に最も大きな可能性を持つのはアメリカかアジアか?

アメリカ全体・全国民がおしなべてすごいというわけではないが、国内にイノベーションのメジャーリーグを多様な場所に多様な形で保有し、世界最大最高レベルの金融市場とメディアを持ち、ハリウッドやファッション等圧倒的なソフトパワーを持ち、グローバル大企業も押しなべて世界一強く、なんといっても先進国で唯一人口をどんどん増やしている。だから製造業も回帰している。世界最高レベルの高等教育と研究機関を多数保有する。

新刊でも書いたが、超ざっくり言ってこれからの世界のチャンスは2ヵ所に絞られると思う。アジアとアメリカだ。国内市場だけでは凋落が避けられない日本はどちらかを目指すべきだと思うが、私はアジアの方が日本人が勝負しやすいと思う。これだけ好感をもたれ、これだけ必要とされ、これだけ日本の色んなものが通用する巨大市場は他にないと思う。ただし、今すぐ出ていくなら。これが2、3年様子見したら中韓や欧米の草刈り場になって入り込む余地はなくなるだろう。

アメリカもとても魅力的な市場だが、ここで日本人や日本企業が勝つのは相当厳しいと思う。細かく見ればケースバイケースだが、ざっくりいえば、アメリカで勝てる日本人になるには、幼児から世界に出てもまれた人材でないと勝てないと思う。名門ビジネススクールを出たくらいではまともなチャンスはないだろう。もちろん、天才的な才能があれば別だが、“何千万人に1人”っていった感じの天才的な人材がすでに世界からガンガン集結しているので、才能だけで勝つのはさらに難しくなっている。言葉や切り込み方で全く障害を感じないくらいの育ち方をして、それプラスなんからの才能がないと勝負にならないと思う。もちろんいいチームが組めれば勝負にはなるかもしれないが、いい人材と組めるかどうかも幼児くらいから外に出ていないと楽ではないと思う。あくまでざっくりな印象でもちろんケースバイケースで例外(ラーメンとかプロ野球とか)はあると思うが、私の印象ではアメリカのビジネス界(金融やスタートアップでは特に)では「日本人は個人では弱く、結局使えない」との烙印を押されているような気がするのだ。というか関心はもうないくらい非常に薄いと思う。

ということで、日本人がアジアを目指すのは正解だと思うし、しかしながらアメリカでも勝てる人材を作る必要があるので幼児教育にも公私にわたって力を入れたい。

私自身としては、降ってわいたような、再びアメリカも見られる機会もうまく勝ち取れたらと思う。

 

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」
第142号(2014年12月5日号)』

著者/田村耕太郎(前参議院議員)
第一次安倍政権で内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権担当)をつとめる。エール大、ハーバード大、ランド研究所にて研究員の経験あり。早稲田大学、慶応大学大学院(在学中にフランス高等経営大学院に単位交換留学)、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を各修了。オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了。日本人政治家で初のハーバードビジネススクールのケース「Politician in Leather Suits」の主人公になる。
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