なぜ、稲盛和夫はあえて人の弱みをマネジメントに組み込んだのか

 

ということで、いろいろと稲盛さんの言われていることを聞いてみます。

自己中心的な動機で設立された企業は、従業員の信頼も献身も得ることはできません「動機が善であり実行過程が善であれば」結果を心配する必要はないのです。

ビジネスの基本は、お客様によろこんでもらうことなのです。そして私たちを頼りにしている「社内のメンバーからも」よろこんでもらわなくてはなりません。

人間というのは弱い生き物なので「自分の意欲を高めてくれるような動機」が必要なのです。自分だけでなく、ほかの人たちにも“最上だと思ってもらえるような目的”を持たなければなりません。

誰にでも誇りを持って話せるような“素晴らしい目的”を持っていれば、恐れや罪悪を感じることなくエネルギーのレベルを上げることができるのです。

これらが稲盛さんの思いでありますが、さらに「本当に崇高な“人間の本質”を知っており“基本的な原理原則”に基づいて判断を下す」ためとして、従業員が行動の指針となる“行動規範たる「京セラフィロソフィー」をも定められました。その内容についてこのように言われています。

実践を通して得た人生哲学であり、その基本は「人間としてこういう生きざまが正しいと思う」ということです。このような生き方で人生を送っていけば、一人ひとりの人生も幸福になり、会社全体も繁栄するということを、私は訴え続けてきました。

この「京セラフィロソフィー」がもたらすものについて、

真の革新者たちが新しい世界を切り開き、開拓することができるのは、彼らが経験豊富であるからではなく、また常識があるからでもありません。それは彼らが本当に崇高な“人間の本質”を知っており“基本的な原理原則”に基づいて判断を下すからなのです。

「人は弱い。悲しいほど弱い」。だから「人は何かにすがっていたい」また「何をすればよいかを示してほしい」。それに対しての応えることが経営の初段です。「あなたを守りますよ」また「こうすれば“物心”ともに幸福になれますよ」こそが弱い人をして資産へ変貌させる初手なのです。

必須の必要条件として、大きな業績をあげるための知恵として、「京セラの経営理念」と「京セラフィロソフィー」が、稲盛さんが取った賢明そして懸命の“人に対するマネジメント”の基盤であります。

image by: Shutterstock.com

[touorku]

print
いま読まれてます

  • なぜ、稲盛和夫はあえて人の弱みをマネジメントに組み込んだのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け