更に、米中冷戦が始まった。まず、5Gに関わるファーウェイ潰しだ。これだけでも、ファーウェイとの連携を進めてきた日本企業には大きな痛手である。続いて、米国は「クリーンネットワーク構想」を発表した。これが実行されれば、世界のインターネットは2つに分断される。これにより、日本と中国の通信は大幅に制限されるだろう。在中国の日本法人は、営業を続けられるのか、分からない。
更に、米国が本気で金融制裁を強化すると、中国は外貨不足となり、貿易ができなくなるのではないか。最近、中共が内循環経済を提唱しているのも、それを予測してのことだ。そうなれば、中国との貿易そのものが困難になる。こうした変化は米国の手の内にある。そして、米国の対中政策は我々のビジネスに直結している。
米国は日本政府や日本の財界に忖度することはない。詰将棋のように順序を考えて法律をつくり、制裁を強めている。今だ解決していない国内要因に加え、海外要因も加わる。全てが経済にマイナスの要因である。対策が状況変化に追いついていない。それなのに、まだ動けないで沈黙を続けている。
冷静に考えれば、世界恐慌が起きても不思議ではない。しかし、正常性バイアスが足を引っ張っている。「世界恐慌なんて起きるわけがない」と信じている。我々は浸水して傾きかけた船に乗っているのかもしれない。
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