情けない日本。政府とマスコミが「米中冷戦」に対応できない理由

 

更に、米中冷戦が始まった。まず、5Gに関わるファーウェイ潰しだ。これだけでも、ファーウェイとの連携を進めてきた日本企業には大きな痛手である。続いて、米国は「クリーンネットワーク構想」を発表した。これが実行されれば、世界のインターネットは2つに分断される。これにより、日本と中国の通信は大幅に制限されるだろう。在中国の日本法人は、営業を続けられるのか、分からない。

更に、米国が本気で金融制裁を強化すると、中国は外貨不足となり、貿易ができなくなるのではないか。最近、中共が内循環経済を提唱しているのも、それを予測してのことだ。そうなれば、中国との貿易そのものが困難になる。こうした変化は米国の手の内にある。そして、米国の対中政策は我々のビジネスに直結している。

米国は日本政府や日本の財界に忖度することはない。詰将棋のように順序を考えて法律をつくり、制裁を強めている。今だ解決していない国内要因に加え、海外要因も加わる。全てが経済にマイナスの要因である。対策が状況変化に追いついていない。それなのに、まだ動けないで沈黙を続けている。

冷静に考えれば、世界恐慌が起きても不思議ではない。しかし、正常性バイアスが足を引っ張っている。「世界恐慌なんて起きるわけがない」と信じている。我々は浸水して傾きかけた船に乗っているのかもしれない。

image by:Drop of Light / Shutterstock.com

坂口昌章(シナジープランニング代表)この著者の記事一覧

グローバルなファッションビジネスを目指す人のためのメルマガです。繊維ファッション業界が抱えている問題点に正面からズバッと切り込みます。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 j-fashion journal 』

【著者】 坂口昌章(シナジープランニング代表) 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日 発行予定

print
いま読まれてます

  • 情けない日本。政府とマスコミが「米中冷戦」に対応できない理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け