情けない日本。政府とマスコミが「米中冷戦」に対応できない理由

 

3.我々は正常性バイアスに囚われている

「正常性バイアス」という言葉をご存じだろうか。人は、事故や災害にあうと、「あり得ない」「考えたくない」という心理状態になり、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価する特性を持っている。これを正常性バイアスという。

2014年韓国で起きたセウォル号事件では、乗船していた多くの高校生が「救命胴衣を着用して待機してください」という船内放送と「動かないでください」という乗務員の指示を守り、そのまま死亡してしまった。高校生達はSNSに不安な気持ちを書き込んでいたが、集団的に正常性バイアスが働き、その場に留まったものと見られる。

さて、我々は今現在、正常性バイアスに囚われていないだろうか。コロナ禍も大変だが、米中冷戦による経済問題は更に大変である。WHOもコロナ禍は2年以内に終息する希望を持っているという。逆にいえば、最短で2年ということであり、2年以上掛かるかもしれないということだ。それでも、時期が来れば終息する。

米中冷戦は、いつまで続くかは予測ができない。世界は2つに分断され、インターネットも2つに分断される。1つの地球というグローバリズムは確かに終わった。世界中の国々のあらゆる産業、ビジネスが影響を受けるだろう。

そんなことがあるわけがない。信じたくないという正常性バイアスは思考停止を招く。そして、じっと我慢していれば元に戻ると考えてしまうのだ。冷静に考えれば分かることが、考えられなくなる。自分に都合の悪い事象は見なくなる。そんな状況に陥っていないだろうか。

4.コロナ前からの変化を冷静に観察する

2019年10月から消費増税が行われた。安倍首相は以前から、リーマン級の不況が来ない限り、増税を行うと述べていた。市場に通貨が不足し、デフレが解消しない段階で消費増税すれば、消費が減速するのは当然である。しかし、これまで見てきた通り、日本政府や財務省は状況をみながら柔軟に対応することは苦手だ。一度決めたことは実行するし、一度実行したことは修正しない。

実は、コロナ以前に消費不況は始まっていた。そこに、コロナ禍がダメ押しした。その後、政府は自粛による休業の保証を少しだけしただけだ。まだ、消費増税に対する対策は打たれていない。

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