「仕事は見て覚えろ」がパワハラではなく合理的指導と言える理由

 

私は若い頃、お寿司屋さんで出前持ちの仕事を何年かやっていたんですが、ここでも大将(店主のことね)が寿司を握る様子を「見る」つもりで見ていたんです。もちろん私が寿司職人になるつもりは全くありません。ただ、いつもの仕事の延長のつもりで、凝視していたんですよ。

そうしたら、全く教わっていないのに、ネタの切り方や、酢飯の合わせ方、太巻きの握り方、巻き簀の使い方を覚えてしまったんですね。これは後にアメリカに行った時に非常に役に立ちました。現地で何度か、寿司パーティーみたいなのをやらされまして、そこで巻物を(鉄火巻きとかカッパ巻きね)を見よう見真似で、作れちゃったんですね。

見ているという行為は数年続けましたが、実際にシャリを取って、海苔に載せて、ネタを置いて、巻き簀で巻いて、形を整えて、最後に包丁で等分に切るという一連の行為をしたのは、その時が初めてだったんですが、

  • 確か大将は、こんな姿勢でこんな感じで力を入れていたよな

みたいなことを思い出して、やってみるとそれなりにちゃんとできるんですよ。

我々の仕事も同じで、上司や先輩、腕の良い職人がやっていることを、「見る」ことを続けたら、必ずどこかで、その仕事の全体像があなたの中にスッポリと収まるようになるんです。

実は、手を取って教えるという行為は、教えられる側がこのレベルになってからやるべきなんです。「見る」という行為を続けて、そのことの全体像がインストールされてから、「教える」のが職人の世界であって、これが正しいんです。

ここをショートカットして、マニュアルを作って促成栽培のように人に教えようとするから、プロが育たなくなるのです。

だから鞄持ちをさせるというのは、本当は理に適った教育方法なんですよ。鞄持ちをやらせて、何かにピンと来ないような人間はボンクラですから、そういう人におカネや時間を掛けて教育するのはムダなんですよ。厳しいようですが、そういうものなのです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤しょ~おん 【発行周期】 平日刊

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