総務省と東北新社の「外資規制」問題、ウソが暴かれるはどちらか?

 

2018年3月24日付
安倍政権の放送法全廃の動きが報じられている。「安倍政権が放送制度改革で、テレビ、ラジオ番組の政治的公平などを求めた放送法の条文撤廃に加え、放送局への番組基準策定義務付けなど、NHK関連以外の同法の規制をほぼ全廃する方針であることが分かった」という記事の中で、「放送局に番組基準の策定や番組審議会の設置を義務付けたり、教養、報道など番組ジャンルの調和を求めたりしている規定を撤廃。一企業による多数のマスメディア所有を禁じた条項や外資規制も廃止する」と。

2018年4月3日付
米中貿易戦争。「米国は、中国の外資規制に伴う技術移転の強要や米企業へのサイバー攻撃などで、年間500億ドル(約5兆2千億円)の損失を招いていると主張」。

2018年4月18日付
中国政府は自動車の外資規制を撤廃する。「自動車分野での外資規制撤廃は、日本や米国が強く要求していた。トランプ米政権は合弁によって技術が中国企業に流出しかねないと主張し、中国市場の閉鎖性も批判してきた。今回の措置は、米国との貿易摩擦緩和に向け、市場開放に努力する姿勢をアピールする狙いとみられる」と。

*トランプ政権は自動車だけでなく、他分野でも「外資規制」を撤廃するよう中国への圧力を強めていく。一方、アジアでは、報道の自由との関係で、政権に「利用」される事例が…。

2018年6月18日付
「東南アジア各国で「報道の自由」が揺らいでいる」とする記事の中で、「フィリピンでは1月、政権に批判的なネットメディア「ラップラー」が外資規制に違反したとして認可を取り消された」。その後、ドゥテルテ政権によってラップラーのCEOは逮捕され、幹部7人が起訴される。

*日本では、外為法が改正され、外資規制が強化される。

2019年11月22日付
改正外為法が成立。「外国人投資家が、関連する日本の上場企業の株式を取得する際、事前届け出の基準となる出資比率を現行の「10%以上」から「1%以上」に引き下げて厳格化するのが柱」で、背景には「昨年以降、欧米で外資規制を厳しくする新法などが成立。国境を越えた企業買収や経営参加が活発になる中、日本も監視を強める必要があると政府はみている」と。

2020年4月2日付
「政府の外交・安全保障政策の総合調整を担う国家安全保障局(NSS)の経済班が1日、始動した。先端技術の保護や外資規制など、経済と安全保障にまたがる「経済安全保障」分野の課題に官邸主導で取り組む」という。

●uttiiの眼

撤廃を含む外資規制の「さじ加減」が、貿易交渉などで“大活躍”しているさまが見えてくる。同時に、途上国では外資規制を理由にした言論弾圧が行われている一方、日本では安倍政権下で、「外資規制の撤廃」を行うことで、メディアをコントロールしようとした歴史も見えてくる。多かれ少なかれ、国境を越えた資本の移動を認めざるを得ない状況下で、「外資規制」が様々な場面に登場している。

image by:Sean Pavone / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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