総務省と東北新社の「外資規制」問題、ウソが暴かれるはどちらか?

shutterstock_292245068
 

菅首相の長男が勤務する東北新社が総務省幹部を接待していた問題は、同社の外資規制違反が明らかになり、さらなる疑惑が持ち上がっています。この「外資規制」というキーワードに関し、新聞報道を紐解くのは、メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さん。東北新社と総務省、どちらの嘘が暴かれるか注目するとともに、各国政府がそのさじ加減により貿易交渉や言論弾圧に利用してきた「外資規制」について考えます。

東北新社の接待問題で注目。「外資規制」について新聞はどう報じてきたか?

きょうは《毎日》からです。4面の「検証」が、「外資規制」について書いています。東北新社が絡む総務省接待疑惑の中心的なテーマになりつつある、この「外資規制」について《東京》の過去記事(過去5年分)を検索すると、2017年以降23件にヒットしました。ザッと見たところ、新しい方の5件は東北新社関係で、それ以外は貿易に関わる話が主になっているようです。これらを対象にします。まずは《毎日》4面記事の見出しから。

外資規制 対立際立つ
総務省接待問題
東北新社社長 17年に違反報告
総務省部長 全く記憶にない
通信行政に影響 谷脇氏辞職

東北新社は、2017年に外資規制違反を総務省に報告したと説明しているのに対し、総務省の方は「記憶にない」と答弁し続けている問題。一方、谷脇康彦総務審議官が辞職したことについて野党は「口封じだ」と批判を強めている、という記事。

総務省側は、鈴木信也総合通信基盤局電波部長が答弁。語気を強め、「外資規制違反のような重要な話を聞いていたら覚えているはずだが、そのような記憶はない」と突っぱねている。東北新社は、中島社長が国会で説明。子会社にBS4Kの認定を承継する前の17年8月4日に担当者が外資規制違反に気付き、8月9日ごろ、子会社の東北新社メディアサービス社長だった木田由紀夫氏が、鈴木氏(当時は情報流通行政局総務課長)と面会して報告したと明言している。

●uttiiの眼

東北新社が16年にBS4K認定を申請し17年1月に認定。10月には子会社に認定を承継したが、いずれの時点でも外資比率20%未満でなければならないという外資規制に違反していたことは、事実として確定している。

東北新社側の説明は非常に具体的で、これが正しいとなると総務省は「外資規制違反を知りながら放置した」ことになり、非常に具合が悪い。武田総務相は、総務省ではなく第三者機関で調査するとしていて、どんな結果が出るのか…。可能性は高くないが、もしも東北新社がウソをついているのであれば、そうさせているのは誰なのかという問題もでてくるだろう。

【サーチ&リサーチ】

*上記したように、17年以降、問題になっていたのは中国などの外資規制だった。「外資規制」は貿易交渉の際の「手駒」の1つという意味がありそうだ。

2017年8月24日付
TPPから米国が抜けた後の会合。ベトナムやマレーシアは米国への輸出拡大を見込んで、「外資規制の緩和」などの市場改革を受け入れた経緯があった。米国が抜けた後は意味がなくなったので、譲歩の内容を「調整」しようとしてくるのではないかという見方について書かれている。実際、この問題で11カ国会議は紛糾する。

print
いま読まれてます

  • 総務省と東北新社の「外資規制」問題、ウソが暴かれるはどちらか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け