追い詰められる中国。「武漢研究所からコロナ流出」説の動かぬ証拠

 

以上を筆者なりにまとめると、武漢ウイルス研究所は新型コロナとほぼ同じ遺伝子を持つ「RaTG13」ウイルスを雲南省の鉱山で発見し、作業員、あるいはコウモリから採取した検体を研究施設に持ち帰ってなんらかの実験を繰り返したと推測できる。ずさんな安全管理のもと、そのウイルスに研究所員が感染し、武漢市内に広がった。

むろん、実験室で新型コロナウイルスに変異したのか、市中で感染拡大するうちに変異したのかはわからない。その変異が遺伝子操作によるのか、自然に起きたのかも不明である。

だが、研究所からの流出を前提とするなら、中国政府は武漢ウイルス研究所から知らせを受け、かなり早い段階から、新型ウイルスの“正体”を知っていたはずである。にもかかわらず、中国政府は華南海鮮市場で野生動物からヒトに感染したとウソをつき、ヒトからヒトへは移らないかのように喧伝していた。

この捏造情報にころりと騙された安倍政権は、習近平国家主席のご機嫌を損なわないよう、中国からの旅行者を何か月もの間、無防備に受け入れていたということになる。

言うまでもなく、新型コロナウイルスの起源を突き止めるには中国政府の協力が必要である。現地で調査にあたったWHO(世界保健機関)は今年3月、「武漢ウイルス研究所から流出した可能性はきわめて低い。この説を決定的に排除するにはより広範な調査が必要」との報告書を公表したが、中国政府に配慮した曖昧決着のそしりは免れない。

現に、前CDC(米疾病対策センター)所長、ロバート・レッドフィールド氏は、6月15日に放映されたフォックスニュースのインタビューで、「WHOは中国に屈し、透明性がある新型コロナの起源調査ができなかった」と批判した。

菅政権は、武漢ウイルス研究所で何が起こったのか、中国政府からの説明を求める権利がある。一部で報道されたように研究所でワクチン製造のための実験が行われていたとしたら、卑劣極まりない。厳しい対中姿勢に転じつつある欧米にいまこそ歩調を合わせるべきである。中国に対する弱腰外交から脱却するには、またとないチャンスではないか。

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