追い詰められる中国。「武漢研究所からコロナ流出」説の動かぬ証拠

 

ダザック氏は、武漢ウイルス研究所の研究者、石正麗氏と長年にわたり共同研究を行い、エコヘルス・アライアンスを通じて多額の米政府助成金を提供してきた人物だ。つまり、武漢ウイルス研究所の関係者である。

『ランセット』はそのような繋がりを知らなかった、もしくは無視していた。そして、科学者たちはトランプ支持者と見られるのを恐れ、武漢ウイルス研究所流出説から遠ざかった。

しかし、バイデン大統領が今年5月26日、研究所のせいで新型ウイルスが出現したのかどうか、報告書を出すよう就任直後に指示していたことを明らかにして以降、ガラリと状況が変わった。武漢研究所からウイルスが流出した可能性を無視できなくなったのだ。

『ランセット』はようやく今年6月21日になって、ダザック氏に対し、武漢ウイルス研究所との利害関係を公表しなかったと批判し、同誌の「COVID-19委員会」から除名した。武漢研究所と中国政府にとって、科学者に影響力のある同誌の動きは大きな打撃だ。

武漢ウイルス研究所のバイオセーフティーレベル4実験室は、多数の野生動物を売買していたといわれる華南海鮮市場から35キロほどのところにある。所長は王延軼氏で、その夫の舒紅兵氏は、江沢民氏の息子である江綿恒氏(武漢大学副校長)の側近といわれ、政治や軍との繋がりが強い。事実、民間研究だけでなく人民解放軍がらみの実験も行われていると疑われている。そうだとすれば、生物兵器開発と関連づける見方も払拭できないだろう。

ところで、武漢ウイルス研究所流出説が再燃する原動力になったのは、米政府でも情報機関でもなく、世界各地のネットユーザー20数人だった。パンデミックの原因に関心を持つ彼らは、ネット検索で、武漢ウイルス研究所をめぐる埋もれた文書を掘り起こし、推理をめぐらし、ツイッターで発信した。そうして自然発生的に結成された見ず知らずの者どうしの集団は「DRASTIC」と名乗り、いまも活動を続けている。

今年6月4日のニューズウィークは、彼らの活動をこう表現した。

言ってみれば「オープンソースの自由参加型ブレインストーミング」であり、ネット調査と市民ジャーナリズムの要素が合体した、全く新しい調査方法である。

事実解明に執念を燃やす彼らの発信は幅広いフォロワーを引きつけた。科学者やジャーナリストからも注目を集め、これまで武漢研究所流出説を陰謀論扱いしてきたCNN、ニューヨークタイムズ、ワシントンポストさえ姿勢を転換した。バイデン大統領や、医学誌『ランセット』の動きはその反映といえる。

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