元国税が指摘する「医療崩壊」のウソ。病院のカネ儲け主義が日本を弱体化させる

 

医療は営利になじまない

ところで、なぜ日本で民間病院が多いのかというと、これも何度かご説明しましたが、日本では最強の圧力団体と言われる「日本医師会」という団体があるからです。この日本医師会は医師の団体ではなく開業医の団体で、開業医の利権を頑強に主張してきて来たために、こうなったのです。

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が、いくら日本医師会の圧力が強いといっても、政治がしっかりしていればこういう異常なシステムにはならなかったはずです。

政府は、この数十年、公立医療を削減し、民間医療を増やすという政策を施してきました。大阪の場合も、この国の方針をまともに実行したという面もあるのです。

国としては、財政赤字を減らすために金のかかる公的医療を減らし、民間の競争原理を導入し、医療費を削減しようというつもりだったのでしょう。

しかし産業の中には、営利を取り入れることによって発展する分野が多々あります。というより、産業の大半は営利を取り入れた方が発展します。しかし、営利を全面的に取り入れると人を幸福にしない方向に行く分野もあります。その代表格が医療なのです。

というのも、医療機関が「儲けること」を第一に考え始めると、非常にヤバいことが起きるのです。

「儲けること」の基本は、原価や労力をいかに少なくし、いかに売上を多くするかです。医療がその方向に向かえば、とんでもないことになります。「楽して儲けられる患者をつくる」ということになるからです。

「治療にそれほど労力はかからないけれど治療費をたくさんもらえる」そういう患者を、医療機関が故意に増やすことになるのです。

だからこそ、欧米では公的医療機関の割合が高いのです。

民間病院の割合が高い日本の医療は、実際にそういうヤバい方向に行っているのです。その最たるものが「寝たきり老人」です。日本の医療機関では寝たきり老人などを増やして入院させ、多額の医療費を稼いでいることが多いのです。

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