岸田文雄氏圧勝の総裁選。それでも高市氏&野田氏が参戦した大きな意義

kawai20210929
 

自民党総裁選・岸田文雄前政調会長が当選。決戦投票で河野太郎ワクチン担当相に勝利」でもお伝えしたとおり、蓋を開けてみれば岸田氏の圧勝に終わった自民党の総裁選。しかしながら今回、同党初となる複数の女性候補の出馬に関しては好意的な声を挙げる識者も多いようです。健康社会学者の河合薫さんもその一人。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、女性2人が立ったからこそ起きた総裁選の大きな変化を指摘するとともに、集団内の男女比が6:4となると場の空気が活性化するという「6:4の法則」の推進を、国に対して強く求めています。

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プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

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6:4の法則と“キングメーカーたち”の思惑

昨日は自民党総裁選の投開票でした。

連日連夜メディアでは、誰それが「1位」だの、決選投票確実だの、派閥の締め付けがどうだのと、“票読み”が繰り返されました。その一方で、4人の候補者たちのメディア出演が繰り返される中、発言が微妙に変わっていく様子は実に興味深いものでした。やはり女性が2人入ったことが、政策議論の盛り上がりの大きな要因だったと思います。

男性2人の発言には、「ん?今、〇〇氏の顔浮かんだよね」と感じられる場面が度々あったのに対し、女性2人にはそれがなかった。これが「数」の力です。これまで何度も書いているように、男女比が6:4になると、ガヤガヤと女性たちにつられて、男性たちも「言いたいことを言わなきゃ!」という空気ができ上がります。

もし、野田聖子氏の参戦がなかったら、政策議論はここまで盛り上がらなかったでしょうし、党内若手が結成した「党風一新の会」の中から候補者を擁立していたら、もっとおもしろいことになっていたに違いありません。

夜の報道番組に候補者4人が出演した際、番組が用意した3択の質問に対し、河野氏が「私はこういう無責任な質問はよくない、メディアは反省して欲しい」と発言、回答を拒否しました。この発言に、野田氏は「メディアが悪いとかいうことは私は、政治家としてどうかと思う」と指摘。こういったやりとりがある事自体が、面白いのです。

これまでも何度も総裁選挙の度に、候補者がテレビで政策を訴える場面はありましたが、いつも奥歯に何か挟まった物言いばかりでした。政策も具体的ではなかった。

しかし、今回は女性2人はかなり具体的で、地道な経験で積み上げてきたものであることが伝わってきました。高市氏と野田氏が「女性はマイノリティだよね」と嘆く場面など、とても新鮮でした。

また、総裁戦ではあまりスポットが当たらなかった、人口減少や子どもへの投資、さらには選択的夫婦別姓を候補者たちが意見するのも、これまでにはなかったこと。

同じ女性でも、考え方に明確な違いがある点も明らかになり、「女性」で一括りできなかったのもよかったと思います。

これらは全て、6:4がなせる技、です。

議論が多方面から本音で語られ、つっこまれ、結果的に政治が豊かになる。前述した通り、若手も加われば、さらに面白い議論が展開されたと思います。

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