日本列島を防衛する戦いで米軍と一緒に敵と対峙している自衛隊側に弾薬の不足が生じたとしましょう。「友軍」である米軍側に聞くと余裕があると言います。そのとき、米軍に弾薬を貸して欲しいと頼むのは当然ですし、自衛隊が突破されたら困る米軍の側から使うように言ってくるのは間違いありません。この考え方は、ミサイル防衛についても同じはずです。
私は米海軍が89隻備えているイージス艦のうち、ミサイル防衛能力を備えている39隻(2025年までに65隻に増強)から4隻を借り、日本側の負担で秋田県と山口県の沖に1隻ずつ配備し、2隻を予備にする案が現実的だと考えています。その2隻のイージス艦の警備は佐世保、舞鶴、大湊の地方隊から護衛艦を出して行います。
人員は艦長ら数人だけ米海軍に出してもらい、残りの乗員は米国の民間軍事会社(PMC)がイージス艦とミサイル防衛の経験者を集め、日本側の全額負担で勤務させるのです。これなら米海軍のマンパワーにしわ寄せが行くこともありません。米海軍の艦船には軍人以外のシビリアンが乗っている例は少なくありませんので、日本側の強い要望があれば実現可能だと思います。現実の戦場なら、上記のような案をさらに融通無碍に組み立て直すことも出てくるでしょう。
内閣総理大臣は国家の優先順位を常に把握し、実行していかなければなりません。安全がなければ日本国の繁栄はないことに思いをいたし、ミサイル防衛の問題からリーダーシップを見せて欲しいと思います。北朝鮮や中国の弾道ミサイルが「いまそこにある危機」でないというのなら、その旨を国民に説明し、これまでの政府を挙げての虚言を撤回してもらいたいものです。(小川和久)
image by: US Missile Defense Agency, Public domain, via Wikimedia Commons