渋沢栄一が提唱した「合本主義」こそ新しい資本主義が目指す姿。子孫が語る“Made With Japan”という考え方

 

金銭的資本、技術的資本、そして、人的資本を活用するWithで世界と共に持続可能な社会、ウェルビーイングな生活を共創する日本が、少子高齢化社会の新しい資本主義の実現、世界へ新しい成功体験のお手本となるべきです。

目指すべきは、単なる量の倍増という成長ではなく、生活の質の倍増という成長でありましょう。「新しい資本主義」が求めている成果がGDP成長に留まるようでは、旧来の資本主義と本質的に変わることありません。意見が分かれるところでしょうが、GDP倍増が昭和のようにウェルビーイング倍増につながることはないという考えが広まっている時代です。

一方で、「新しい資本主義」を都合よく解釈して、現状維持に甘んずることは断じて回避しなければなりません。「三方よし」は素晴らしい概念ですが、それが、日本人だけに通じるものに留めてはならず、世界との共通言語化が必要です。「論語と算盤」も同様です。

渋沢栄一が提唱した日本の資本主義の原点である「合本主義」とは、一滴一滴の滴が大河になる。つまり、民間力集合による変革です。大正5年(1916)に出版された渋沢栄一の講演集の「論語と算盤」は、当時の日本社会への憂いそのものでもあり、栄一は民間力再編による変革を求めていました。

つまり、日本の資本主義の原点は変革、トランスフォーメーションだったのです。この「CapX」で、日本は新しい時代を導きました。「新しい資本主義実現」では当然ながらDX(デジタル・トランスフォーメーション)が議論されると思います。しかしながら、そもそも「新しい資本主義実現」とは、CapXによる社会変革を導くことが本質でありましょう。

そういう意味では、新しい資本主義には新しい企業価値の定義が必要です。カーボン・ゼロ社会の実現に邁進している企業、人権を尊び搾取をサプライチェーンから排除する企業、地球の生態を守り、世界の人々の健康な暮らしを支える企業は、明らかに価値があります。ただ、この価値は必ずしも財務的な測定だけでは可視化できていない場合もあります。

企業の非財務的な情報開示に留まることなく、社会的インパクトや環境的インパクトの意図を可視化する測定(メジャーメント)の検討・実践が今後、展開されることを期待しています。

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