離婚したら年金はどうなる?必ずやるべき「年金分割」、いくら貰えるか実例検証

 

この度、婚姻期間が昭和48年6月から令和4年2月まで連れ添った夫と離婚したいと思います(婚姻期間中の夫の厚生年金期間は昭和48年6月から平成18年7月までの398ヶ月で、この期間による老齢厚生年金は130万円とします)。

夫の老齢厚生年金から最大2分の1の年金を分けてもらえると聞きましたが、分けてもらえるでしょうか。分けてもらえるならいくら分割してもらえるでしょうか?

さて、A子さんは離婚して、これからは自分自身の第3の人生を歩みたいと思っています。

以前から離婚は考えていましたが、年金額が低い事でなかなか一歩が踏み出せませんでした。

ところが年金分割を知った事で少し前向きになったようです。

年金分割できるのは婚姻期間中の厚生年金の報酬総額(厚生年金計算に使う給与や賞与を加入期間全部足したもの)のみであり、加入期間が増えるわけではありません。また、基礎年金は個人にのみ与えられる年金なので分割できません。

分割するのは婚姻期間中の報酬総額のみなのですが、簡易にするために年金額で分割したいと思います。

夫は婚姻期間中の厚年期間(昭和48年6月から平成18年7月の398ヶ月)の老齢厚生年金130万円を受給しています。他に老齢基礎年金70万円貰ってますが、基礎年金は分割対象外なのでカウントしません。

老齢厚生年金130万円の最高半分を分割するので、65万円を夫から分けてもらうという事ですね。

そうするとA子さんの年金総額は老齢基礎年金434,376円+自分の老齢厚生年金10万円+分割してもらった65万円=1,184,376円(月額98,698円)となりました。

振替加算が消えてますが、離婚分割で20年以上の期間の記録を分けてもらうと振替加算が消えてしまうので注意。年金生活者支援給付金は前年収入などの合計が781,200円を超えたので支給されなくなった。

まあそれでも年額50万円ほどアップしましたね。

なお、夫から自動的に分けてもらうのではなく、夫婦の合意が必要。

離婚分割してもらう時は夫婦の合意書や公正証書などの証明が必要であり、その合意で決めた割合で分割をする。分割は上記でも言ったように婚姻期間の報酬総額の最大半分となる(老齢厚生年金の最大50%分けてもらえる)。

※ 追記

婚姻期間中にA子さんは厚生年金期間が無ったから、単純に夫から厚生年金額を分けてもらったような形になりました。

たとえば、A子さんが婚姻期間中の記録で20万円の厚生年金が貰えて、夫のその間の年金が130万円だったらどう分けていたのでしょうか。

最大50%分けてもらうというのは厳密に言うと、夫婦の厚生年金記録を合計してその半分をお互い受給しましょうねというような意味になる。

よって、婚姻期間中の夫婦の厚生年金記録の合計20万円+130万円=150万円

150万円×50%=75万円を元夫婦で受給する事になる。

そのために夫から55万円を貰って、妻は20万円+55万円=75万円となった。夫は130万円から55万円分け与えて、75万円になった。

ちなみに50%が嫌なら、40%と分けてもいい(9割以上のほとんどの人は50%で決着しているけども…)。

40%で分けるなら、分割されるA子さんは150万円×40%=60万円となり、分割するほうの夫は150万円×(100-40)%=90万円となる。

image by: Shutterstock.com

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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