コロナ鎖国の弊害で苦しむ日本。渋沢栄一の子孫が説く「新しい資本主義」実現崩壊の危険性

 

前回のレターでご紹介した日本人大学生の「コロナ果」を実現させるには、目の前のコロナ禍の状況だけに血眼になることなく、視野を広めなければなりません。「人への投資」とは未来への投資であるという認識を、日本国内だけではなく、世界にも広めるメッセージングが大事です。これは、政府だけに求めることなく、我々が自分事として向き合う必要があります。

どれほど信ぴょう性のある世論調査かわかりませんが、8割の日本人が留学生の入国規制(隔離期間やワクチン接種ではなく遮断)に賛同していると言われています。政治は世論に答えなければならない、ただ、これが現在の日本社会の実態だとすれば、日本人は自分たちの目先のことしか考えない、鎖国化に陥っていると危惧します。

日本において鎖国的な感情が広まるようでは、「新しい資本主義」の実現は遠のくだけです。成長と分配の好循環を国内の枠組みだけに留めると、将来の人口動態という現実的な限界があります。

グローバルな好循環により、日本社会が世界と共に繁栄するMade With Japanの成功体験を築くことで、日本の新しい資本主義の実現が国内外の後世から評価されることになります。

礼儀、道義、忠恕。これらは日本人が昔から尊んでいる徳です。自己中心的にならず他の人にも配慮する。人として当たり前のことを、当たり前にすることです。この当たり前のことを、日本に好意を持っている若者たちに示すことなく、無関心な社会をつくってしまったのは我々現役の日本人です。

このような国を、私は、未来の日本人、未来の世界に残したくありません。コロナ禍ではなく、ぜひコロナ果を後世に渡しましょう。

□ ■ 付録:「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □

『論語と算盤』経営塾オンライン 

「渋沢栄一 訓言集」国家と社会

国交をして、道理正しく安全を保ちて、
いやしくも危険なからしむるは、
これ国を愛する者の当然の義務である。

道理を正しく安全を保つ。是非とも日本政府は、このスタンスで国交を求めてくる外国人に接していただきたいです。「道理」とは、決まったルールに無分別に従う思考停止ではなく、何が正しいかということを常に問い続けながら最善な解決策に至ることだと思います。

「渋沢栄一 訓言集」国家と社会

維新の革新までは、長い間武家政治であった。
その間に行われていた制度はこの革新により破られ、
それと同時に、旧事物は打ち砕かれて、
玉石とともに一掃された。

保存すべき物も破壊したり、
尊ぶべきものも卑しんだり、
甚だしきは親子師弟の関係までも、
取り失うように行き走った。

ゆえにこの弊害からいうと、
維新などと言い得ぬかもしれない。

ここが弊のみを見て、
功を没するかなかれという主要の点である。

まさに、この栄一の教えが、コロナ禍ではなく、「コロナ果」を実現させるために主要な心構えだと思います。今こそ、日本は「功」を世界へ示すべきです。

謹白

image by: 公益財団法人渋沢栄一記念財団 - Home | Facebook

渋澤 健(しぶさわ・けん)

print
いま読まれてます

  • コロナ鎖国の弊害で苦しむ日本。渋沢栄一の子孫が説く「新しい資本主義」実現崩壊の危険性
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け