そもそも日本のコロナ関連支出は諸外国より多いのです。
経済学者の原田泰氏によると、21年6月時点の諸外国のコロナ関連支出で比較した場合、日本の感染者数はドイツやフランスに比べ桁違いに低いにも関わらず、支出はいずれの国よりも高かった。なのに、GDPの落ち込みはさほど変わらない結果になっていたとのこと。また、支出が大きいオーストラリアやニュージーランドの成長率は比較的高く、日本がいかに費用対効果の低いお金を無駄に使い、あれだけ「経済!経済!」と言ってきたわりには、経済をうまく回せていないことがわかると言います。
たとえば、今回の検査院の調査で不当事項とされた「病床確保」の場合、政府は医療体制の拡充費用の7兆8,000億円の大半をコロナ向け病床の確保に投じました。ところが、確保できたのは約3万9,000床にとどまり、1床確保するのにざっと2億円もかかった計算になると、原田氏は指摘しています。さらに、重症者病床1床当たり1,950万円の補助金を出すなどして確保に努めましたが、補助金を受け取りながら入院を断る病院も目立ったそうです。
昨年1月には、京都大学の西浦博教授らのグループが、GoToトラベルがコロナ感染拡大を招いたとする論文を寄稿し、話題になりました。2020年5月から8月にかけて、24の県から報告された新型コロナウイルスの感染者およそ4,000人を分析し、およそ20%が、発症前に旅行していたり旅行者と接触したりするなど、旅行関連とみられる感染者でした。
また、期間ごとの発生率を比較する手法で詳しく分析した結果、「GoToトラベル」が始まった2020年7月22日からの5日間で、旅行に関連した感染者は127人で、発生率は前の週の5日間と比べて1.44倍に。さらに、旅行の目的を観光に限定すると、発生率は、前の週の5日間の2.62倍になっていたのです。
100年に一度のパンデミックですから、費用対効果だの経済への影響だのを考慮するのは難しかったのかもしれません。それでもやはり、日本の対応はすべてが後手だったし、思いつき対策のオンパレードでした。
なんでもワクチン!も今後は国の負担はなくなるとの報道もあります。そして、今、再び感染が広まっていますが、「これからはインフルエンザと同じで!ひとつよろしく!」で、コロナ対策はジ・エンドになるのでしょうか?
日本はエビデンスに基づく政策が進まないことに加え、検証も不十分です。借金ばかりが増え、人々の暮らしは楽にならず、しかも、無駄遣いが多いとは…。日本は稼ぐ力はおろか、使う力もない国に成り下がってしまったのでしょうか。
みなさまは、この問題についてどのようにお考えでしょうか?
ご意見、お聞かせください。
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