プーチンついに「核使用」決断か。ロシア軍“不気味な撤退劇”の裏側

 

もしかしたら、今、モスクワを物理的に空けることは、クーデター発生のチャンスを与えてしまうかもしれないと恐れている可能性もあります。

そして核のコントロールも緩むことになり、望まない核兵器使用を誘発することになりかねません。

もしそれを明確に懸念し、予防しようとしているのであれば、G20の欠席は理にかなっているかもしれませんが、確実にウクライナでの戦争の終結の機会は遠のくか、扉が閉ざされることになるかもしれません。

世界から孤立していると自身も認識していると一説には言われていますが、そこに付け込もうとしているのが、イランや北朝鮮などの“欧米によって孤立させられている国々のリーダー”です。

イランについては、自国の核合意協議再開に向け、少しでもアメリカに対して有利な条件を引き出すためにロシアにドローン兵器、革命防衛隊の兵士、そしてミサイルも供与することでロシアの後ろ盾を絶対のものにしようとしています。

その見返りはほかに、核兵器に関する技術、または核兵器の供与とも言われており、もしそれが本当であれば、核兵器をめぐるバランスは大きく崩れることになるでしょう。そしてイスラエルとイランが核によって対峙することで、中東地域は一気に不安定化し、サウジアラビア王国などは自国も核を持つべきという議論に流れる可能性が高まります。それを防止するには、アメリカが核の傘を提供するという選択肢はありますが、すでにこのスタイルは限界に達していると言われています。

中国もイランとの関係性を深めていますが、あくまでも現時点まではピュアに経済的な協力強化とエネルギー資源の調達元の確保が主眼ですから、軍事的な側面での影響力は限定的と思われます。

このような流れに乗ってきているのが、最近、異常な頻度で繰り返される北朝鮮による弾道ミサイル発射です。

金体制にとっては、国際情勢の中で忘れ去られること、無視されること、相手にされないことへの焦りからの行動という理由もあるでしょうが、同時にロシアのウクライナ侵攻を見て、自国に対する中国とアメリカの出方を見極めるための手段というようにも見ることが出来ます。

言い換えるとアメリカと中国のレッドラインがどこにあるのかを見極めつつ、金体制の存続の確保を図るということなのでしょう。

最近、ICBM級のミサイル発射がありましたが、それは北朝鮮にとっては非常に危ない賭けであったはずですが、現時点までは、国連安保理決議違反だと認識されているにもかかわらず、ロシアと中国に守られることで、お咎めを受けていません。

北朝鮮による挑発行為は、アメリカのバイデン政権をかなり苛立たせており、政府内でも「これ以上は看過できず、次のICBM発射があり、かつ核実験を再開するような事態になった場合には、それは北朝鮮の存在に終止符を打つことになるだろう」という非常に過激な発言も目立つようになってきています。

クリントン政権時に一度、真剣に北朝鮮を攻撃する計画が立てられ、実施一歩手前まで行ったという記録がありますが、バイデン政権内ではその時以来の攻撃を計画すると同時に、クリントン時代にはなかったICBMと小型化された核弾頭の存在を念頭に、やるならば非常にdecisiveな一撃(核攻撃)でせん滅するか、または秘密ミッションで核施設を爆撃してしまうという作戦を取るか、考慮されていると聞きます。

ただし、ペンタゴンの分析官曰く、もし北朝鮮に反撃の機会を与えるようなことになったら、北東アジアの安定は瞬時に吹っ飛びかねず、それは韓国、そして日本に対する直接的な被害を意味するという声もあります。

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