捜査当局がターゲットとしていた「統一教会の暗部」
〈統一協会重点対象一覧表〉の1枚目には、19人が登場する。そのうちの5人が早稲田大学の原理研究会の出身で、3人が「軍事部隊関連者」、1人(女性)が「軍事部隊関連者M(注、「MA」氏のこと。資料では本名)の下で国会議員の渉外担当」とある。
別の人物の「備考」には「軍事部隊のMA(資料は本名 )の下で第一補佐」ともある。〈一覧表〉の最初に「MA」氏があるのは、「軍事部隊」を統括しているとの情報があったと推測できる。ちなみに「国会議員の渉外担当」は、国際勝共連合では「PR TEAM」といい、赤坂の事務所から定期的に議員会館を訪ねてロビー活動を行うことを目的とした。
2枚目以降の捜査資料には「自衛隊出身 入隊中統一協会と関係を持つ 自衛隊では要注意人物 銃申請者(韓国銃)」とされた者もいれば、「陸上自衛隊」の現役で、姉が「鋭和銃砲店勤務」、しかも上記「要注意人物」がその銃砲店から統一教会系の「鋭和銃」を購入した疑いもあると記録されている。
こうして〈統一協会重点対象一覧表〉には、(1)早稲田大学原理研究会出身者が10人、(2)自衛隊出身者4人と現役が1人リストアップされていた。さらには1973年に旧ソ連に渡航、社会主義国の教育機関であるルムンバ大学を卒業し、帰国して国際勝共連合事務局長を務め、警察との関係では暴力行為や公務執行妨害で逮捕歴のある「KA」氏の名前もある。
捜査当局はいったい何のために人物を特定して〈統一協会重点対象一覧表〉を作成したのだろうか。捜査資料の誤りもふくめて、統一教会の何をターゲットにしていたのか。その核心問題を検討していく。
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