「ノルドストリーム破壊に米関与」報道を無視して気球で騒ぐ日本メディアの害悪ぶり

 

考えなければならないのは、「そこまでする」国がアジアで何をやるのか、である。当然、米中の争いが深刻なレベルに達し、アメリカが手段を選ぶ余裕を失ったときの選択肢のことだ。中国とアジアの関係を断つために何をするのか。日本や台湾を捨て駒とすることなど朝飯前ではないだろうか。

この話題に比べたら、1週間のんびりとアメリカ大陸を横断した気球の話に拘泥する日本は、どうなのだろうか。この話にスパイ合戦という裏があったとして、どちらかが正義でどちらかが悪という話に行き着くことなどありえない。

ブッシュ・オバマ両政権で統合本部議長を務めたマイケル・マレンが「お互いをスパイし合うことはいまに始まったことじゃない」と米ABCテレビのインタビューで語っているように、サイバー攻撃同様、そもそもはお互いさまという話だからだ。ここで大騒ぎしても新しい発見はない。

少し情報を整理すると、今回、中国の気球はアラスカに入ってからカナダを経て再びアメリカの上空に現れ、モンタナ州、ミズーリ州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州から東の海に抜けたところでF-22戦闘機の空対空ミサイルで撃墜された。

この問題が明らかになると米中間の緊張は高まり、2月5日に予定されていたアントニー・ブリンケン米国務長官の訪中は、「急遽、延期」となってしまった。ただ不思議なのは、当初アメリカ側もこの問題で目くじらを立てる様子はうかがえなかったことだ──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年2月12日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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