「米飯などの糖質を含む食品を摂取すると直後に血糖値が上昇してしまうのはなぜ?」と言う疑問が、メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』の読者から届きました。これに、著者で糖質制限食の提唱者として知られる江部康二医師は、デンプンの消化吸収について解説をしながら回答しています。
米飯を摂取すると、なぜ直後から血糖値が上がるのか?
【読者からの質問】
糖質を含む食品(米飯など)を摂取すると、(ほぼ)その直後から血糖値が上昇し始めます。
単体のブドウ糖ならすぐに吸収されるのは分かる気がしますが、米飯などの場合は、胃を経て小腸で糖質が吸収されるので、血糖値が上がるまで時間がかかるのではないでしょうか?
なぜそんなに早く血糖値が上がるのでしょうか?
【江部先生からの回答】
米飯やパンなどの主原料である穀物の主成分はデンプンです。
デンプンの消化吸収について考えてみましょう。
1. デンプンは、唾液中のα-アミラーゼにより加水分解される。
2.食道は、消化吸収の働きはなく、蠕動運動で食物を通過させる。
3. 胃内でも、胃液と混和しない部分では、消化が進行して約70%が加水分解される。
4.大量の胃液(粘液、塩酸、ペプシン)が分泌され、撹拌運動により食物と胃液が混ぜ合わされる。
5. 胃内で混ぜ合わされて糜粥(ビジュク)となり、蠕動運動によりその都度、チビチビ小刻みに十二指腸に移動していく。
6. 胃の内部の糜粥(ビジュク)は、時として1時間くらいかけて継続的に消化されて十二指腸に移送される。すなわち胃には貯留の働きもある。
7. 糜粥(ビジュク)は、小腸(十二指腸・空腸・回腸)で単糖に分解されて吸収される。
胃の消化物(糜粥)の十二指腸への移動は、基本的にブドウ糖と同じメカニズム(胃の蠕動運動)と思われます。
胃の蠕動運動には、撹拌・粉砕・移送があります。 従って、炭水化物摂取後、ブドウ糖の吸収速度にはおよびませんが、あるていど速やかに血糖値が上昇し始めると考えられます。
なお、水分、塩分、アルコールも、ほとんどは小腸で吸収され、胃では一部しか吸収されません。
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