先日掲載の「若者の失業率が20%超えの中国。習近平が本気で恐れる『天安門事件の再来』」でもお伝えした通り、空前の就職難が大きな社会問題化している中国。その悪影響は市民生活にも及び始めているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、就職難に喘ぐ中国の若者たちの実態と、時代錯誤も甚だしい習近平政権の施策を紹介。さらに失業率の悪化により社会不安が広がる中国の世相を反映した暗いニュースを取り上げるとともに、その根幹には彼の国の歪んだ社会構造が横たわっているとの指摘を記しています。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年6月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【中国】若者の就職難で不安定化する中国社会
● 「死亡卒業写真」「ゼロ職場」…就職難にあえぐ中国の大卒者たち、自虐ネタが話題に
中国若者の就職難に関する話題をもう一つ、ご紹介しましょう。
中国の大学の卒業式で、卒業生がキャンパス内で死体のようにぐったりとしている姿を写真に撮るという行為が、今、中国の若者の間で流行しています。彼らがその行動で訴えたいこととは、有名大学を卒業しても就職先がなく死亡したも同然だ、ということのようです。
中国の就職難がどれほど深刻かということについて、先のニュース分析でも述べましたが、さらに以下の報道を一部引用してその実態を見てみましょう。
今年6月に卒業する中国の大学生たちは史上最悪の就職難に直面している。中国全域には今年、過去最多の1,158万人の大卒者と100万人の「海帰(海外留学からの帰国者)」が労働市場に参入する。
2020年初めの新型コロナウイルス感染症流行以降、中国の強力な「ゼロコロナ政策」で企業が採用を減らし、この間に増えた就職浪人たちも今年、一緒に競い合わなければならない状況だ。
ところが、新型コロナ感染防止措置が解除された後も中国の消費・生産・投資の回復は遅く、不動産市場が低迷するなど経済状況が悪いため、雇用は少ない。先月の中国における16-24歳の失業率は20.8%と最悪だった。
● 「死亡卒業写真」「ゼロ職場」…就職難にあえぐ中国の大卒者たち、自虐ネタが話題に
また、他の報道では、大学卒業時に就職先がないからと、大学院進学を選ぶ学生が多かったが、彼らは大学院を卒業した時点でも、就職難は変わらなかった、とのこと。
● 中国で大学生が空前の就職難!なのに政府は高齢者の再就職を奨励…何が起きてる?
中国では少子化が進む一方で大学入学の枠が増えていることから、大学入学は以前よりは容易になったと言われていますが、それでも中国での統一試験「高考」を受験する受験生は、本人と家族が一丸となって試験に挑む一大事です。必死に勉強して有名大学に入学できても、卒業した後の就職先がない。これでは、死亡したも同然だと学生が「死亡卒業写真」を撮る気持ちも分かります。
就職できなかった学生は、たちまち経済的に困窮し、ネットやスーパーなどのお店で賞味期限が迫って割引になった食品や、売れ残りの弁当などを安く購入して生活を送っているそうです。
● 「死亡卒業写真」「ゼロ職場」…就職難にあえぐ中国の大卒者たち、自虐ネタが話題に
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