「名称変更案」も出た“マイナンバーカード地獄”で崖っぷちの岸田政権

TOKYO, JAPAN - 18 August 2021:My number card , Japanese word " My number card "TOKYO, JAPAN - 18 August 2021:My number card , Japanese word " My number card "
 

システムの不具合やマイナカード自主返納の急増が報じられるなど、大混乱の様相を呈しているマイナンバー制度。何がここまでの状況を引き起こしているのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、「事態は深刻」とした上で、政府が国民に対してまず行うべきことを考察。問題解決の第一歩として岸田政権が受け入れなければならない「現実」を提示しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年7月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

名称変更では済まない。マイナンバーカードの何が一番の問題なのか?

河野太郎大臣は、遂にマイナカードの名称変更を示唆しました。何か明るい見通しが出ているのなら別ですが、現在のタイミングで「リブランドで出直し」ということは、姑息というよりも、かなり「詰んでいるな」という感じです。官房長官が名称変更を否定しますが、内閣の中でも困惑があるのでしょう。

また、河野大臣からは、人海戦術でデータのチェックを行うような発言もあり、まるで本土決戦で一億玉砕のような敗北主義もチラ見えしています。かなり深刻な事態だと思います。とりあえず、成り行きで進めるのではなく、少なくとも大きな方向性を示して頂きたいのです。

方向性の1つは、統合の方向です。総務省は住基データベースを充実する方向で、例えば外国人登録を吸収したり、戸籍のデジタル化も進めてきたわけですが、今後は「戸籍制度を廃止してもいいぐらい」住基をメインのデータとして、そこに振られた番号がマイナという「システムの骨格」を作っていくのか、という方針です。年金も、保険も、今後はより統合して事務の効率も、サービスの正確性も向上させるという方向です。今は、諸事情から不徹底だが、とにかく統合してゆくのなら、そのように宣言し、今後のステップを示すべきです。

もう1つの方向性は、いやいや、そこまで総務省が頑張ると地方自治が機能しないなどの問題で、住基は地方による運用とします。それとは別に戸籍があって、保険と年金はやはり厚労省だとか、国家レベルは番号だけのマイナで、とにかくそれぞれが「ゆるい連携」、つまり例外ぞろぞろの分散型で行くという方向性です。そうなれば、今のような紐づけのエラーがエラーで弾かれないとか、データ照合は上手く行かないので放置とか、いい加減な運用は根絶できそうもありません。それは分かっているけれども、制度上、組織上はこれが現実的ということです。

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