「プリゴジンではない」あの“ワグネルの反乱”は誰が計画を立てたのか?

 

ロシアの状況

プリゴジンの乱は、ルカシェンコ大統領の仲介で、大きな内戦にもならずに終結したが、プリゴジンはベラルーシには居ないで、サンクトペテルブルグにいると、ルカシェンコ大統領は述べている。この件を質問したが、ロシア大統領府のペスコフ報道官は6日、事実の認否を避けた。

そして、衝撃的な発言があった。ポドリャク大統領府長官顧問は、「私の理解では、計画したのは(創設者)プリゴジン氏ではない」「軍参謀本部の将校らが計画したと思う。(大統領の)プーチン氏が連邦保安局(FSB)などに賭けて失った物を、取り戻したかったのではないか」と話し、FSBの情報を信じてウクライナ侵攻に突き進んだプーチン氏への反発が軍の将校らにあった可能性を指摘した。

ロシア軍事ブロガーは、ロシア政府の兵器増産努力について、主力の戦車工場が2022年秋から完全3交代制の24時間操業になるなど、生産力を増強しているという。しかし英国国防省は「ロシアの戦車生産は増えていない」と評価するが、弾薬使用量を見ると、ロ軍の砲撃数は、落ちていない。イランからの輸入もあるとは思うが、軍需企業の生産は増加しているようである。

ウ軍の後方破壊で、食糧や弾薬が不足している上に、給与も6ヶ月も未払いで、前線の部隊交代もなしで、ロ軍の部隊では戦闘作戦への参加拒否の数が増加している。例として、ザポリージャ州のロジウカ地域では、約20人のロ軍兵が前線での戦闘任務の遂行を拒否した。

ベラルーシ駐留ロ軍動員兵も、年初は最大1万8,000人いたが、1ヶ月前には2,000人になり、現在は、ほぼ「戦術核」要員以外ゼロとなり、前線での兵員不足を隠しきれない状態になっている。

ここでも負け戦の様相をロ軍は呈している。

このように戦争に負け始めていることを感じているのか、メドベージェフ安全保障会議副議長は、ウクライナ侵攻に関し「全ての戦争は即座に終わらせられる。平和条約を結ぶか、1945年に米国が核兵器で広島と長崎を破壊したのと同じことをするかだ」と述べ、核兵器が使用される可能性に触れて威嚇した。

この発言は絵空事ではないかもしれない。英紙デイリー・スターは、「プーチン大統領が核爆撃機2機を緊急発進させて12時間飛行し、第3次世界大戦が起こるのではないかという恐怖を引き起こした」と報じた。

一方、クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋で、避暑に向かうロシア人観光客が交通渋滞を引き起こしている。このため、軍事物質の輸送にも支障をきたしている。このため、プーチンは、観光客を迂回させるよう地方当局者に命じたという。

戦争中にもかかわらず、ロシア人がクリミア半島で休暇を過ごしたがっていることを、ロシア政府は正しく分析していなかったようであり、ウ軍の攻撃危険性をロシア政府は周知していない。

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