精神科医が思わず苦言。誹謗中傷を禁止する前に日本がすべきこと

Man with mental health problem in the psychiatrist studioMan with mental health problem in the psychiatrist studio
 

テレビで連日報道される有名人の自殺ニュース。実はこういった報道は海外ではやってはいけないことになっていると語るのは精神科医の和田秀樹さん。今回のメルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』では、 誹謗中傷を禁止する前に日本がやるべきことについて語っています。

自殺を誘発するマスメディア

またまた、テレビがものすごい勢いで自殺報道をしている。

有名人の死を大々的に取り上げるのも、亡くなった方を美化するのも、WHOや国連の自殺報道のガイドラインではやってはいけないことになっている。何かにつけて国際標準とかいう割には、こういうことだけは外国を見習わないのが日本のテレビマスコミだ。

言い訳がましく、命の電話の番号などを伝えてお茶をにごしているが、基本的にはこういう報道が明らかに自殺を増やすのに、それをやめようとしない。

人がその後何人死んでも視聴率が稼げればいいのだろうが、その癖して、正義の味方面をして、誹謗中傷メールをやり玉に挙げる。

もちろん誹謗中傷メールは本来は許されないことだが、以前のメルマガにも書いたが、m3などという医者向けのサイトでは、誹謗中傷が野放し状態だ。

もちろん、私もその被害者なのだが、日本の医者の思考回路もよくわかるし、私の医療に関する考え方に賛成の人が3%くらいしかいないことも勉強になった。

残念ながら、ネット社会なのだから、誹謗中傷はなくすことは難しいだろう。

だからこそ、メンタルヘルスを充実させるべきなのだが、厚生労働省は全国82の大学医学部で、精神科の主任教授にカウンセリングが専門の医者が一人もいない状態を放置している。

誹謗中傷で悩む患者さんが、カウンセリング(認知行動療法ももちろん含む)もしないで薬で治るとでも思っているのだろうか?

いじめにせよ、ハラスメントにせよ、もちろんなくなるに越したことはないのだが、残念ながらゼロには絶対にできないし、どんなに減らしても今の1割がいいところだろう。

ならば、そういうものを受けた人がメンタルケアを受けることが大切なのに、それができる人を増やすことにまったく日本の政府も役所も熱心でない。もちろん、医学部教授の間でもカウンセリングのできる人間を精神科の教授にしようという機運はまったくあがらない。

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