精神科医が思わず苦言。誹謗中傷を禁止する前に日本がすべきこと

Man with mental health problem in the psychiatrist studio
 

私が誹謗中傷に強いのは、もともとメンタルが強いのでなく、カウンセリングや心の健康を勉強してきたからだ。あとは、少し愚痴がこぼせる相手がいるからだ。

医者がダメなら臨床心理士がいると思いたいが、なかなかいい臨床心理士がいないようで、文科省からのお達しなのか、精神保健福祉士を使えという始末だ。

給料が安すぎるので、なり手が減っているし、優秀な人材が集まらないという要因はあるが、それ以上に問題なのは、この臨床心理士に資格を与える日本臨床心理士資格認定協会という団体が腐りきり、はっきりいってハラスメントまがいのことを平気で行う団体だ。

私も一応臨床心理士の資格をもっているが、その資格を維持するためにこの協会や心理士会のセミナーを5年で何回受けろというのが義務付けられている。

そのためにセミナーを受講しようとするのだが、受講するのにほとんどの場合、抽選がある。私は3回続けて落とされた。

精神科医の場合は、臨床心理士の資格がなくてもカウンセリングができるので、さすがにもう資格の更新はやめようと思うが、臨床心理士の場合は、受講しないと資格の更新ができないので、何回も何回も抽選に応募しないといけない。当たった時のためにほとんどの日曜日をあけておかないといけない。

もう少し広い会場を取れば済む話なのに、それもやらない。

抽選に何回も外されて、資格の更新ができない不安を抱える臨床心理士の気持ちなどわからないようだ。

こんな奴らが、人の気持ちに寄り添えとか、共感しろとか教えるのはチャンチャラおかしい。

この非道なシステムに文科省が指導をすればいいのだが、会長に文科省に顔の利く政治家を使って(かつては森喜朗が会長だった)用心棒にしているから性質が悪い。

私は精神神経学会も神経学会も精神分析学会も認定医や専門医の資格をもっているが、抽選でないと学会に出られないなどという話は聞いたことがない。

こういう人に教えられた臨床心理士がクライアントさんの気持ちに寄り添えるのかが不安になる。優越的な立場を利用して、クライアントに偉そうにするのではないかと不安になる。

日本でメンタルを病んだ時はどこにいけばいいのだろう。

誹謗中傷を禁止する前に、ちゃんとしたメンタルケアのできる人間を養成してほしい。

※本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2023年7月15日号の一部抜粋です。

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