全土が核ミサイルの射程内に。もはや北朝鮮を「臣下扱い」できぬ中国の焦り

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朝鮮戦争の休戦から70年。東アジアのパワーバランスは、その当事国により大きく変わろうとしています。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、韓国のユン政権と中国、さらに北朝鮮と中国の関係性の変化を、海外紙の記事を引きつつ解説。さらに北朝鮮が中国の潜在敵国に変わる可能性も指摘しています。

変化する韓国、中国、北朝鮮の関係性

韓国、ユン大統領になって日本および米国との関係が劇的に改善しました。

その分、韓国は中国との関係が悪化しています。

サウスチャイナモーニングポストの7月21日の記事をみてみましょう。

4月に韓国のユン大統領が、台湾問題は北朝鮮と同じような「グローバルな問題」だと発言して中国を怒らせて以来、二国間関係はここ数カ月で下降線をたどっている。

 

中国の駐韓大使は先月、米中対立で「間違った賭け」をしないよう韓国に警告した。「後で必ず後悔することになる」と付け加えたことで、緊張を煽った。

解説

ユン大統領に対して、中国が不快感をしめすのは当然です。

そして中国は、韓国を西側同盟のウイークリンク(楔のもっとも弱い部分)と思っています。

今後も、硬軟を交えて韓国を揺さぶってくるでしょう。

その中国と北朝鮮の関係も一筋縄ではいきません。

かつて中国は北朝鮮を属国のように思っていました。

北朝鮮は中国との貿易・経済援助がなくなればやっていけなかったですから、首根っこをつかまれていたのです。

しかし、今は状況が違います。北朝鮮は核をもっており、それを運ぶミサイルもあるのです。

韓国、日本、米国に向けたミサイルの方向をクルリと反転させれば中国のすべての都市が射程距離に入ります。

中国は北朝鮮を意のままに従う臣下として扱う事はできなくなったのです。

その関係についても記事は論じています。

ジョージ・H・W・ブッシュ米中関係財団のリ・ソンヒョン氏は、2011年に金正恩が指導者に就任して以来、北朝鮮と中国の関係は最も緊密なものになっていると指摘した。

 

リ氏によれば、今年は朝鮮戦争の敵対行為の終結を示す休戦70周年でもあり、平壌と北京は公の場で連帯と友好を示す可能性が高いという。

 

「中国は特に今年、北朝鮮を疎外するリスクを冒す余裕はない。むしろ、米韓日の同盟関係強化への対抗措置として、北朝鮮との関係を深める可能性が高い」

解説

北朝鮮の核・ミサイル開発は、中国にとってもリスクであり不快なものであるはずです。

先ほども述べたように、それは自国に向けられる可能性もあるからです。

だからこそ、中国と北朝鮮の関係が緊密になったとも言えます。

そして、中国が北朝鮮の核保有の不快感を明確にしないのは、クアッド(日米豪印戦略対話)の包囲網に対する危機感もあるでしょう。仲間割れしている状況ではないという判断です。

しかし今後、中国は北朝鮮が潜在敵国になる可能性も見据えて戦略を練らざるを得ません。

核を保有する事、そしてそれを運ぶミサイルの射程が伸びることは、国際関係を根底から変えるのです。

その現実を我々は認識する必要があります――(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』7月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)

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・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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【著者】 大澤 裕 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

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