13人に1人いるはずなのに。LGBTQの人が自由に暮らせない日本の現実

Tokyo,,Japan,-,28,April,2019,:,Lgbt,Parade,鍍okyo
 

今年6月に施行された「LGBT理解増進法」。事業主にも相応の行動が求められるなか、第一歩として、当事者の話を聴き対話することで理解を進めるようとシンポジウムを企画したのは、生きづらさを抱えた人たちの支援に取り組む引地達也さん。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、マンガ化もされた『僕が夫に出会うまで』著者の七崎良輔さんの話から、日本社会にあふれる酷い差別の実態を紹介。無理解による攻撃によって、佐藤、鈴木、高橋、田中の姓の合計より多く13人に1人いるとされるLGBTQの人たちが、自分の性に関して自由に表現できない社会を形作っていると伝えています。

グラデーションの中にあるLGBTQ、そして私たち

LGBT理解増進法(LGBT法)が6月に施行されたのを受けて、このほどシンポジウム「LGBTQを考える ダイバーシティー雇用とインクルーシブなかたち」を開催した。

ゲイの立場からLGBTQへの理解を推進する「LGBTコミュニティ江戸川」の七崎良輔さんからの話を中心に、発達支援研究所の山本登志哉所長と渡辺忠温主任研究員が質問者として対話する形式で行った。

七崎さんの著書『僕が夫に出会うまで』(文藝春秋)は世界9ヶ国語に翻訳、マンガ化もされるなどの反響を呼んでおり、LGBTQ当事者の世界は潜在的な存在から可視化、実在化され、それが社会の中で融合する方向で動いている中で、反発する人の存在もまた鮮明化している。

七崎さんの話から知る、当事者から見えるものに、理解を進めようとする私も多くの発見があった。マジョリティによって傷つくマイノリティの気持ちはやはり対話で知るしかない。コミュニケーションの継続が人の尊厳を維持するのだと、再度確認する機会となった。

七崎さんも説明したのが、一般的に言われるLGBTQの割合は8.9%、13人に1人。これは日本でいうと佐藤、鈴木、高橋、田中の姓の人の合計より多く、左利きの人とほぼ同じ割合である。私たちの周囲には誰かしら上記の姓の人がいることを考えると、おそらく身近にいるのがLGBTQ当事者である。それに気づけば、もはや他人事ではない。

そして、それらをゲイ、レズビアンとひとくくりに表現するのではなく、性の多様性として理解するために以下の4つのパターンで考えると、理解もスムーズである。

それは「こころの性」=自分が認識する性(性自認)、「からだの性」=生まれた時に染色体や内外性器の形状などから判断された性、「好きになる性」=恋愛感情や性的な関心がどの生別に向いているか(性的指向)、「表現する性」=言葉遣いやしぐさ,服装などどんなふうに周りから見られたいか表現する性、である。

これらは人によって違いがあり、それぞれに度合いがある。それはグラデーションとしてつながっており、自分がどの度合いにいるかで、その人の性的指向は認識される。

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