13人に1人いるはずなのに。LGBTQの人が自由に暮らせない日本の現実

 

国際的にはSOGI(Sexual Orientation/Gender Identity)との言葉で理解される。これは性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)を指すが、反発する人は「性的嗜好」との言い方をする。

嗜好は「嗜むこと。常々その物事を好んで親しむこと。また、それぞれの人の好み」(広辞苑)とされるから、当事者にとってはまったく的外れの認識と憤るし、実態を表現したものではないことは確かだ。

このような無理解による攻撃が、自分の性に関する表現が自由にできない社会を形作っており、LGBT法成立後もまだ自由に言える状況からは程遠いのが現実であろう。七崎さんが示した就労に関する以下の問題ではその現実を表している。

「大学キャリアセンターにカミングアウトをし就職活動をしたい旨を伝えたら、どこも受からないと言われた。大学の恥になるからと口止めされた」

大学が学生の多様性を否定するような事例に愕然とするが、これが私たちの社会で起こっているのである。

さらに「職場でレズビアンであるとカミングアウトしたら『治してやる』『男を知れ』と言われ性的暴行を受けた」「就業後の飲み会で、酔った上司から、『お前ホモか?気持ち悪いな、もっと男らしくしろ』と怒鳴られた」「パートナーの存在を隠していたら、単身者だとして転勤させられた」「会社の更衣室・制服・社員寮・宿泊研修等が男女分けがあり、戸籍性しか利用できなかった」──。

おそらく当事者目線からすれば、枚挙にいとまがないほどに私たちの社会は差別にあふれている。

七崎さんと山本所長、渡辺研究員の対話では、その生きづらさを作る社会を客観的に見つつ、人の存在そのものがグラデーションの中におり発達障がいも性的指向もすべてがつながっていることの一環として、自分の存在があることの確認ができないか、との問いが出された。

そう私たちはつながっていることを深く理解し、LGBTQとともにある社会にしたいと思う。

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