「解散命令」請求でも切れない。自民党と統一教会の“腐れ縁”が続くワケ

Naka_20210527-03
 

文科省がついに旧統一教会への「解散命令」を東京地裁に請求。自民党は教団との関係断絶をアピールしたいようですが、“腐れ縁”は続くと見ているのは、辛口評論家として知られる佐高信さんです。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、安倍晋三元首相の国葬から1年となったのを機に、改めて公私の区別をすべきだったと国葬を評価。岸田内閣は女性閣僚を5人にしたとはいえ、うち3人が世襲で統一教会と同じく家重視であること、教団との関係が問題視された議員たちも続々公認候補になっていることなど、両者は切っても切れない仲であると指摘しています。

安倍「国葬」1年

9月27日、昨年と同じく『毎日新聞』の記者と共に日本武道館や統一教会本部を歩いた。昨年のそれは9月30日の夕刊に掲載され、今年のそれは27日の夕刊に載った。

昨年の大見出しが「強まる『国家』の存在懸念」で、今年のそれは「根深い政治家の公私混同」である。問題意識に変わりはないが、昨年は「国葬を一番喜んでいるのは統一教会だ」ということを強調している。

「国家」の存在が目立つ時は、その国がおかしな状態に陥っている時であり、「国っていうのは、異論を封じる道具に使われる。本来は『国』があらわにならない政治がいい政治なんだよ」と私は言ったらしい。

「死」は私事の最たるものであり、その私事を「公」に利用するのが国葬で、それは逆に「公」が「私」のもとに無制限に入り込んでくることになり、公私の区別がつかなくなる。そして、公私の別で忘れてはならないのは公イコール国、国イコール公ではないということである。

領土や領海は国によって区切られるが、領海の外に公海がある。政権や右派は国イコール公だと押しつけてくるが、公は国を超えるものなのである。

「残念ながら、反対意見を言うのに勇気のいる社会だよね、日本は。その中で1人1人があげている反対の声を与党はもちろん、野党も拾っていない。税金は国民のために使うものなのに、保守派の支持を高めるために国葬をするとか、それは自分たちの都合だ」

昨年、私はこう言っているが、今年の結びは次の発言である。

「国民は、戦前には戻らないし、政治家はそこまでひどいことはしないと思っている。でも、憲法を目の敵にする統一教会が政界に侵食し、防衛費の増額も決まった。私は8割方戦前に戻っていると思うけどね」

公私混同の最たるものが世襲だろう。女性閣僚5人のうち3人が世襲。統一教会の本部のショーウインドウには「仲睦まじい家庭を築く」として文鮮明夫妻の写真が飾ってあった。その前で私は「政治家の世襲も統一教会問題も、家を強調することが公私混同につながる」と話した。統一教会と自民党そして維新は改憲で一致する。考え方はどこまでも一緒なのである。

「封建的な家父長制を目指す統一教会と男女同権をうたう日本国憲法は真っ向から対立する。統一教会は選挙の支援を通じて露骨に自民党に改憲を働きかけてきた」

改憲を引っ込めない限り、自民党と統一教会の腐れ縁は続く。「教団イベントで韓鶴子総裁の右隣に写る写真が見つかるなどして閣僚を更迭された山際大志郎ら、接点が判明した議員も次々と次期衆院選の公認候補予定者に決まっている」と記者は指摘しているが、自民党は切れない。切ったら選挙ができないほど一体化しているからである。

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: 円周率3パーセント, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

佐高信この著者の記事一覧

活字にならなかった本当の想いを届けなければと、アナログ代表が初トライします。政治、経済、教育、文学etc。質問にも答えて行けたらと思っています。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 佐高信の筆刀両断 』

【著者】 佐高信 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎月 第1〜第4金曜日(年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 「解散命令」請求でも切れない。自民党と統一教会の“腐れ縁”が続くワケ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け