法律違反か。木原防衛相の応援演説「自衛隊に報いる」発言に批判殺到、自衛隊の政治利用を疑う声が多数

2023.10.16
by kousei_saho
km20231016
 

歴史どころか自身の経験にすら学べない人物なのか。木原稔防衛相は15日夕、現職の死去に伴う衆院長崎4区補選の自民党候補の応援演説に入った長崎県佐世保市で、「自民党候補を応援していただくこと、これが自衛隊ならびにご家族に対しての、そのご苦労に報いることになる」と発言した。

この現役防衛相による「自衛隊に報いる」との発言が問題視され、ネット上では批判の声が相次いだ。法で制限されている「自衛隊の政治利用」と取られても言い訳できない内容に、野党やネットユーザーから反発の声が上がった形だ。




「防衛費増額に反対の野党に佐世保の代表にはなってほしくない」

海上自衛隊佐世保基地を念頭に、「佐世保は自衛官やその家族が誇りを持って過ごしている街だからこそ、自衛隊に理解がある」と指摘した木原氏。さらに今年度から5年間で計43兆円にまで増額される防衛費や市内のテーマパークに隣接する形で計画されているカジノを含むIR計画にも触れ、「野党は残念ながら反対。私はそういう方に佐世保の代表になってほしくない」と語った。

自衛隊を巡っては、2017年にも当時の稲田防衛相が東京都議選の応援演説で、「防衛省、自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と支持を呼び掛け大炎上。その後発言は撤回したものの、野党からの辞任要求には「職責を果たす」として応じなかった。


木原防衛相が過去に起こした2度の“舌禍事件”

木原氏といえば防衛政務官時代の2014年、辺野古移設を巡り飛び出した「永田町の民意」発言や、翌2015年の沖縄全戦没者追悼式で当時の安倍首相に野次を飛ばした参列者らを「沖縄県による動員」と発言するなど、たびたびメディアを賑わしてきた。


その後、旧統一教会との関係などが取り沙汰されては来たが口は謹んでいた模様で、今回が8年ぶり3度目の“舌禍事件”となった。

佐世保市民は防衛相の発言をどう受け止めているのか

では、今回の発言が飛び出した長崎県佐世保市の市民はどのように受け止めたのだろうか。海上自衛隊佐世保基地の関係者が本音を語る。

「佐世保という土地は旧海軍が基地を開いたことがきっかけになって栄えた街なので、海自に関しても好意的な思いを持っている住民が多いんです。海自音楽隊の演奏をバックにアーケード街を隊員たちがパレードすることもありますが、かなりの数の観客が集まります」

「地元高校生たちの貴重な『就職先』ということもあって、とにかく市民と海自の関係が近いですね。もちろん彼らに対して厳しい意見や視線を向ける団体もいるにはいますが、佐世保では少数ですね」

木原防衛相の発言についてはどうか。

「そんな事情もあるので、『何が問題なのか?』と受け止める市民も多いと思います。人によっては『そんな法律自体がおかしい』と声を上げる向きもいると思います。私自身は『大きな問題になりそうな発言だな』と感じました」

もし防衛相の発言が「佐世保バーガーの売り上げに報いる」であったなら、問題視されていなかったどころか、地方経済と真摯に向き合う政治家として、全国で拍手喝采が沸き起こっていた可能性すらある。

地方の衰退が叫ばれる今、佐世保市とてその例外ではない。幸い観光資源は豊富に存在するようなので、海上自衛隊のみに頼るだけでなく、観光地として知名度を上げる方向にシフトすれば今まで以上の集客も見込めるだろう。このニュースを機に、ハウステンボスや佐世保バーガー、そして美味しい魚介類が豊富な長崎県佐世保市に注目が集まることを願って止まない。

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