全生物の命を脅かす。温暖化による「耐え難い酷暑」が地球を滅ぼす日

Calcutta,,India,-,June,10,,2015:,Local,People,Take,Bath
 

今年もまた記録的な猛暑に襲われた各国。日本もその例外ではなく、11月に入っても各地で夏日となる「異常」が続いています。地球温暖化の影響であることはもはや疑う余地はありませんが、これ以上の進行を防ぐため、我々はどのような手を打つべきなのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、国連大学の『相互に関連する災害リスク』最新版で報告された「6つの自然界の変化と人間社会で生じる多数の新たなリスク」を紹介するとともに、その筆頭に挙げられている「耐え難い酷暑」が地球に及ぼす悪影響を解説。さらに温暖化対策に対する自身の思うところを記しています。

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

耐え難い酷暑、山火事や豪雨…空気に国境はない

国連大学環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS)がメインリポート『相互に関連する災害リスク(Interconnected Disaster Risks)』の2023年版を発表しました。

今回のテーマは「人類や地球にとって取り返しのつかない壊滅的な影響を与えるティッピングポイント(臨界点)」についてです。臨界点は超えてしまうと止めようのない変化が次々と起こるため、報告書では6つの自然界の変化と人間社会で生じる多数の新たなリスクについて明らかにしています。

※ 以下、6項目

  • 耐えがたい酷暑:住めない場所に住む
  • 生物種の絶滅の加速:生態系崩壊への連鎖反応
  • 氷河の融解:薄氷を踏み進む
  • 地下水の枯渇:水の枯渇と食料供給の危機
  • 保証できない未来:リスク上昇で保険は手の届かないものに
  • 宇宙ごみ:人工衛星が空から消える

深刻化する温暖化は広範囲に影響を及ぼしてるとし、世界で年約50万人が亡くなり、人類が生存できない暑さ「耐え難い酷暑」を記録する所もあります。

昨年、Bloombergが、クウェートが急速に「人が住めない場所」となりつつあると報じ、話題になりました。2016年には気温54度を記録し、21年には初めて6月に50度を超えました。クウェート環境庁によれば、同国の一部では71-100年の間に最大4.5度も気温が上昇していたそうです。

耐え難い酷暑で、日陰や水を得ることができず多数の鳥が死亡。動物病院は熱中症や脱水症で死にそうになったところを、住民に保護され運び込まれる野良猫であふれました。

この「耐え難い酷暑」は人間の生命と健康だけでなく、野生生物をも脅かし、種の絶滅が深刻化し、生態系を危険に晒しています。

日本でも今年、最高気温30℃以上の真夏日、最高気温35℃以上の猛暑日が連日観測され、東京では7/6~9/7の64日間真夏日が続き、2004年の40日を超えて過去最長を記録。10月に入ってからも夏日を記録し、今週末も夏日が予測されるなど、異常としかいいようがありません。

また、「耐え難い酷暑」で氷河は年約270ギガトンが融解し、欧州中部やカナダ西部、南アメリカの小規模な氷河は10年以内に、淡水供給が減り始めるリスクが高まっていて、既にアンデス山脈では、地域社会が飲料用や灌漑用の水源が不安定な状況に直面しています。

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