石油ビジネス優先。アラブ諸国に見殺しにされるハマスとパレスチナ人の不幸

Gaza,palestine-,October,20th,2023-the,People,Of,Gaza,,Particularly,Distressed,Women,child,
 

イスラエルからの激しい攻撃にさらされているパレスチナのガザ地区。現地では10分に1人の子供が命を落としていると伝わりますが、イスラエルにその手を緩めるつもりは毛頭ないようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、同国ネタニヤフ政権の最終目的と、アラブ諸国の今後の動きを解説。さらに国際機関の無力化が進む中にあって、いかにして集団的安全保障体制を構築してゆくべきかを考察しています。

アラブでパレスチナ人をジェノサイドする、欧州でジェノサイドに遭ったユダヤ人

イス軍はガザを南北に分断した。中部から侵攻したイス軍は海岸線まで到達した。このため、ガザ市内を包囲したことになる。しかし、イス軍も350名以上が戦死している。

ハマスもトンネルを利用して反撃をしているが、ガラント国防相はトンネルを解体する有効な方法があるとして、ハマス殲滅を徹底的に行うという。

ハマス軍事部門報道官は、このイス軍のトンネル攻撃により人質60人以上が死亡。瓦礫の下に23人の死体が埋まっていると発表した。真偽のほどはわからない。

それ以上に世界が反発するのが、イス軍が、ジャバリア難民キャンプへの爆撃を3日も実行し、400人以上の死者を出していることだ。

そして、ガザ包囲後、イス軍はガザを攻撃して、ガザ市民の死者が増え続け、食料や水は枯渇し、医療も崩壊している。

ネタニヤフ政権は、「ガザ全住民をシナイ半島に排除」という政策文書を作成して、そのシナリオを実行するようである。ガザ住民を難民化することになる。

このため、米政府内および議会からイス軍による民間人に対する攻撃に厳しい声が上がっている。レイヒー法により、米政府は重大な人権侵害をした外国軍への軍事支援を禁じられているので、支援はできないことになる。

これを受けて、ブリンケン国務長官がイスラエルに飛んで「人道的停戦」をネタニヤフ首相に要求しているが、「人質解放が含まれないハマスとの人道的停戦を拒否するとブリンケン国務長官に伝えた」と述べた。

日本の上川外相も「人道目的の一時的な戦闘の休止」をイスラエルに求めたが、ブリンケン国務長官と同じように無視されている。

このため、イスラエルの国際社会での孤立化が鮮明となっている。

イスラエルは、ロシアの敵対的な発言で、シリア空爆の際のロシアへの事前警告をやめると発表した。ロシアも敵に回した。このため、ロシアのワグナー軍がミサイルなどを持ち、ヒズボラを支援するようである。とうとう、ロシアも入ってきた。ウクライナと停戦して、イスラエルとの戦いに向ける可能性も出ている。

シリアに展開するイラン系民兵組織もレバノンに入って、ヒズボラを支援するようである。

イエメンのフーシ派は、10月31日に宣戦布告し、ボリビアは断交し、チリとコロンビア、ホンジュラス、ヨルダン、トルコは大使を召喚した。エジプトは、ガザ地域との国境線に戦車と装甲車を配備した。

このフーシ派をけん制するために、米空母アイゼンハワーはスエズ運河を渡り、東地中海から紅海に入った。

この状況で、トルコのエルドアン大統領も、イスラエルを支援する米国を非難している。イスラエルとは険悪な関係になっている。

この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ

初月無料で読む

print

  • 石油ビジネス優先。アラブ諸国に見殺しにされるハマスとパレスチナ人の不幸
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け