石油ビジネス優先。アラブ諸国に見殺しにされるハマスとパレスチナ人の不幸

 

石油ビジネスに影響が出ることを恐れるアラブ諸国

そして、人道的停戦を要求する国が増えている。国連も難民キャンプの爆撃を戦争犯罪であると言っている。ガザ市内への攻撃はなおさらである。

イスラエルのエルサレムで安息日明けの土曜夜に行われた人質解放求めるデモが、先週から比べると集まったのが10倍以上と盛況である。停戦してでも命を守らなければならないといけないと言う。

この中、ラファ検問所から多数の外国籍の人たちがエジプトに逃れた。その中には日本人10名もいた。イスラエルからは40名以上の日本人が帰国した。やっと、ヨハネの黙示録の状態になることを、日本人たちも知ったようである。

しかし、イラン革命防衛隊の司令官とヒズボラのナスララが会談したが、その後のナスララ演説は、ハマスの抵抗は応援するが、それ以上にイランが米軍との直接衝突を恐れている可能性があり、このため、ガザでの停戦を提案した。中東全域への戦争に歯止めをかける必要で述べている。

このため、現時点では、イラン派武装勢力の本格的な参戦はないようである。このナスララの演説で、この戦争は中東全域に拡大しないことになり、石油価格が大きく下げた。

この背景は、ハマスはスンニ派なのでシーア派のヒズボラとは本当はあまり関係ないが、対イスラエルで共闘している。しかし、そのハマスをイランが支援しているので、ヒズボラは、イランにお伺いを立てたが、イラン自体も戦う意思がないので、これ以上の攻撃をしないということのようである。

サウジから資金を貰っているスンニ派の武装勢力は、ハマスを助けないようである。ハマスとパレスチナ人は見殺しにされることになる。賢明なるスンニ派アラブ諸国は、パレスチナ紛争に巻き込まれて自国の石油ビジネスに影響が出ることを恐れるのであろう。

本当に、これでよいのであろうか?

そして、この状況で、中国の立場が微妙である。イスラエルを積極的に非難しないで、中立的な立場を維持している。イスラエル軍事技術の中核的な部品を多数、イスラエルから輸入している。このため、イスラエルを非難できないようである。

その中国は、東アジアでの覇権を取りに来ている。その正面が日本、台湾、フィリピン、ベトナムなどであり、インドネシアは中国からの支援が多く、親中に傾いている。

日本は準同盟国として、フィリピンを遇し、沿岸監視レーダーなどの無償供与で海洋監視能力を向上させ、自衛隊との共同訓練も拡充するという。南シナ海での中国への危機感が東南アジア諸国で共有されつつあることで、この枠組みを拡大していくことになる。

中東での戦争と、東アジアも同時に戦争になると、米国は三正面作戦になるので、それを恐れている。11月に米中の首脳会談を行い、現在、極東に空母カール・ヴィンソンが来ていて、空母レーガンと合わせて一時的に2隻体制にして、中国の暴発を防いでいる。

この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ

初月無料で読む

print

  • 石油ビジネス優先。アラブ諸国に見殺しにされるハマスとパレスチナ人の不幸
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け