小泉でも高市でもない、「消去法」で残る次期首相候補
各種調査で「首相に相応しい人は?」の問いに対する上位候補はほとんど決まっていて、今回の朝日調査で言えば、
- 小泉進次郎:16%
- 石破茂 :15%
- 河野太郎 :13%
- 高市早苗 :8%
- 岸田文雄 :7%
- 林芳正 :1%
- 茂木敏充 :1%
である。
小泉と河野は、若さとパフォーマンス上手のポピュリスト的人気で、以前からこの手の調査の上位常連だが、やや色褪せたかもしれない。高市は、安倍タカ派路線の継承者で、初の女性首相に最も近いかという期待も背負っていて、本人もその気で来秋総裁選を睨んで新たな勉強会など立ち上げているけれども、この朝日ランキングでむしろ新鮮なのは、その高市の人気がこれほどまでに不人気の岸田とほぼ同等だという現実である。そう見ると、勉強会の立ち上げはむしろ彼女の焦りの表現であると知れる。
ここで驚くのは、茂木が現政権No.2、派閥の人数でも旧安倍派に次ぐNo.2の旧竹下派の会長で、最も「次」に近い立場であるはずなのに支持率1%で、ほとんど選外にあるということ。権力志向のパワハラの塊で、党内はもちろん派内でも心から支える者が少ないと言われる欠陥人間だけに、それを超えて大衆的人気を得るには余程の努力が必要だということだろう。
さらにもう1つの驚きは、No.1派閥の旧安倍派から1人も候補が挙がらないことである。周知のように、同派では後継者がドングリの背比べで、無理に会長を決めようとすれば分裂騒ぎになりかねないことから、何と15人から成る常任幹事会による体制を採ったが、これでは党内や世間に向かっての政権獲得への執念を示すことにはならない。
そのように消去していくと、残るのは石破茂で、本誌の予感では来秋総裁選で岸田の全く無意味な再選を阻む可能性を持つのは彼だけではないか。彼自身、意欲を滲ませる発言をし始めているのに加えて、現在は非主流の立場にある菅義偉や二階俊博が蠢き出す場合には石破を軸に小泉や河野を巧く配した布陣を敷いて政局転換を図るのかもしれない。
石破がそれなりの政治哲学も政策基調も備えて「自分の言葉で語ることのできる政治家」であることは、例えば『月刊日本』12月号の彼に対するインタビューを読めば一目瞭然だろう。
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