岸田政権を葬るか?元明石市長・泉房穂氏が訴える「救民内閣創設」への期待感

 

「余りにも庶民的?な感覚のスガノミクス」の劣悪面の模倣

岸田としては、低迷する支持率を反転させる“決め手”として、物価高対応の所得税4万円減税と、低所得のため住民税を免除されている世帯への7万円給付とを9月末に打ち出し、10月20日召集の臨時国会を通じてこれを「成長の成果である税収増分を国民に還元する」と大いにアピールすることを狙ったのだろう。

これは、首相が唯一頼りにする知恵袋とされる木原誠二のアイデアだったに違いないが、その木原は妻の元夫の不審死についての「文春砲」報道で捜査当局が動き出すという事態の中、9月の人事改造で総理補佐官を外れて党幹事長代理・兼・政調会長特別補佐という前例のない奇妙なポストに退避せざるを得なくなった。

そのため、それでなくとも弱体と言われていた官邸の各省庁に対する根回しや振り付けの機能はますます不全状態に陥り、肝心の鈴木俊一財務相が11月8日の衆院財務金融委員会で、岸田が国民に還元すると説明した過去の税増収分は「既に政策的経費や国債の償還に充てられていて使用済み」と正直に言ってしまうという前代未聞の珍事が起きた。首相が減税すると見栄を切ったのに財務相が「そんな財源はどこにも存在しません」と言うのでは、国民は首相がその場限りの出まかせを言って騙そうとしていると受け止めて当然である。

そのため、NHK調査では、4万円減税と7万円給付について「評価する」が36%、「しない」が59%。毎日調査でも4万円減税を「評価する」22%に対し「しない」66%、7万円給付を「評価する」30%に対し「しない」60%という無惨な結果となった。

これは、既に本誌No.1231(11月6日号)でも指摘したように「小銭が転がり込むとちょっとお得で嬉しいでしょ」と言って媚びるような「卑しいとまでは言わないが、余りにも庶民的?な感覚のスガノミクス」の劣悪面の模倣であり、こんなことで国民を騙すことはできない。騙せるなら、菅義偉政権はもっと長続きし、岸田政権は生まれなかっただろう。

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