Appleの時価総額を500兆円超にまで押し上げたAI技術「Apple Intelligence」をGoogle日本元社長がポイント解説

 

GPTは、追加料金なしで利用でき、Siriが特定のプロンプト(質問)に対応できない場合などにSiriを支援する形で連携するようです。ただし、Siriは、ユーザーにGPTとプロンプトを共有する許可を求め、ユーザーが許可を与えると、SiriはGPTと連携して回答するようになります。「Siri powered by GPT」といったイメージですが、ユーザーのプライバシー保護を重視するアップルらしいアプローチと言えます。

アップルとしては、AI開発において先行するOpenAIに敵わないところは、割り切ってGPTに任せることにしつつ、ユーザーのプライバシー保護を重視する立場から、ローカルデバイス側で機能するAIモデルやチップを独自に準備して、他社のクラウドベースのAIよりも高いレベルのプライバシーを提供することを差別化のポイントにしています。アップルとOpenAIの提携はかねてから噂されていましたが、OpenAIを介してマイクロソフトとアップルが手を結んだと見ることもできるでしょう。まさに最強連合です。

ただし、アップルはGPTをプラグインとして位置付けています。同社によれば、将来的には他のAIモデルも利用可能になり、ユーザーが利用するAIを選択できるようにする予定だそうです。つまり、最終的にApple Intelligenceの性能が十分高いレベルに成長すれば、OpenAIのような外部企業に頼らなくてもよいように設計しているのだと思います。

なお、いよいよ日本でもApple Vision Proが6月28日に発売されることになり、14日から予約注文の受付が始まります。Apple Intelligenceとの連携に向けたvisionOS 2も同時に発表されましたので、これからは日本でも市中でVision Proを装着してAIと会話しながら歩く人の姿を見掛けるようになると思います。

アップルは、今回発表したAI新機能が利用可能になる時期を明らかにしてはいませんが、今後3~4カ月以内には使えるようになるのではないかと見込まれています。

最後に、以前にも何度か掲載した自作のAI相関図を更新しておきます。

生成AIの開発相関図(最新版)

生成AIの開発相関図(最新版)

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辻野 晃一郎(つじの・こういちろう):福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。

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