勅使河本部長や勝共連合元会長まで。出版差し止めに動く面々
統一教会信者には「ホーレンソウ」という行動指針がかねてから教えられている。いまでは企業の社員教育でもよく知られている「報告」「連絡」「相談」だ。
大江益夫氏が、朝日新聞元記者で「赤報隊事件」取材チームの責任者だった樋田毅氏と「対談」して本を出すことは、教団指導部にたちまち知れわたった。
京都の山奥に住む大江氏の自宅には10人を超える信者たちが入れ替わりで説得にやってきた。
なかには教団の「顔」でもある勅使河原秀行・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)教会改革推進本部本部長もいた。「原理研究会」初代会長で国際勝共連合元会長もいきなり現れた。
かつての同僚は「第2の副島事件になるぞ」(注:1983年に『文藝春秋』で教団を批判した副島嘉和・『世界日報』編集局長が、雑誌発売前に襲われ、一時重体となった)と心配か脅しかわからないような電話をかけてきた。ちなみにこのときも事前に原稿が流出している。
大江氏は信者だったので、信頼できる仲間に原稿を送ったようだ。教団関係にはただちに広がった。そのことをある元幹部は「上から降りてきた」と表現した。内容が点検され、京都の自宅を訪れた信者たちは問題点を指摘した。
一方で教団本部は7月末に版元の光文社に本の内容が「事実でない」から「出版差し止め」するよう通知書を送っている。だが光文社は予定通り8月20日に発売する。
大江氏は6月29日に「教団を批判した責任を取るため」退会届けを提出した。ところが教団はこの退会届を認めなかった。教団が知ることなく批判を書いたことを理由にせよと大江氏に求めた。こうして退会届けは7月13日に受理される。
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