横綱トランプを終始圧倒、ハリス氏の立合い・踏み込みと「爆笑問題」とは?米大統領選TV討論会 重要ポイントまとめ

 

ハリス氏の“爆笑問題”が今後の焦点に

興味深かったのは、今回のマイクの扱いでした。このマイクの扱いについては、両陣営で二転三転があったのです。

最初は6月の「バイデン対トランプ」で、これは、バイデン氏の反応が「遅く弱い」ことを懸念したバイデン陣営が、トランプが不規則発言で「押しまくる」のを警戒。申し入れをして、「発言の番にある側しかマイクをオンにしない」という協定を結んだのでした。

これに対してハリス陣営は恐らくは「トランプがヤジなどの不規則発言で攻撃してきたら、喧嘩を買って打ちのめす」ことを考えたようで「マイクは常時オン」という主張をしていました。トランプ側はこれに難色を示し、結局は「発言者以外のマイクはオフ」ということになったのでした。

ハリス陣営はこれに対して、マイクがオフでも表情などのボディランゲージでジャブは入れられると判断したのか、トランプが非常識な暴言を繰り出す際には、爆笑の表情で対応し、成功していたと思います。

ちなみに、ハリスの爆笑という問題については、候補になった直後はトランプ陣営は「バカみたいに見える」という印象を拡散しようとしていました。ですから、彼女が大笑いする動画を様々に切り取って「マルキスト」だとか「危険な極左過激派」などという烙印とともにCMに仕立てて流していました。

ですが、その後、若者層がショート動画を拡散する中でヤシの木のミームとともに、「ハリスの爆笑がカッコいい」という不思議な印象論がブームになっていきます。現在もこのブームは続いている中で、その「爆笑」がTV討論で有効打になったわけです。

もちろん、これには諸刃の剣の面があり、ハリス陣営が何か失敗をして、大きな批判にさらされる局面があれば、「高笑い」の動画はあらためてマイナスイメージに振れる可能性はあります。

そう考えると、彼女の「笑い顔」のイメージが「プラス」のままで投票日を迎えることができるかどうか、これは大きな勝敗のポイントになると思います。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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