石破と道連れで地獄行きの日本国民。京大教授が「米国にすり寄り依存し続ける外交」で搾取され続ける国益を憂うワケ

 

トランプには全く通用しない依存一辺倒の岸田流媚米外交

繰り返すがトランプ氏は、Civil War(内戦)と言われる程に対立してきたバイデン・ハリス氏の方針を180度転換させることは必至だ。すなわち、バイデン氏が加速させてきたウクライナ戦争の終結を目指し、同じくバイデン氏が加速した地球温暖化対策や移民受け入れ政策を抑制し、自由貿易主義よりもむしろ関税を引き上げる保護主義の方針を拡大していくことが見通されている。

そんな状況下で、日本の総理は如何なる方針でトランプ大統領率いる米国と対峙していくべきなのか。言うまでも無く、これまで岸田氏が繰り返してきたように、とにかく米大統領のご機嫌を取り、忖度し、米大統領が喜ぶ内政外交を展開し続けていて良い筈がない。そんな媚米の態度を継続しているだけでは、日本は搾取されるだけ搾取され、国益は激しく毀損する他ない。

例えば岸田文雄氏によるバイデンに対する「媚びへつらい」外交によって、バイデン政権内での岸田氏の評価は大変に高いとしばしば言われているようだが、その帰結として、日本の対露外交は激しく傷ついてしまった。北方領土返還交渉が絶望的状況に至り、極東における安全保障環境がさらに悪化した。今後、日中、日朝の軍事的安全保障的対立が深刻化した場合、ロシアが「中立」的な立場を取る可能性が岸田外交によって大幅に下落すると共に、中国や北朝鮮に与する形で日本に対して「敵対」的な立場を取るリスクが飛躍的に拡大してしまったのである。

つまり、岸田外交のように、日本の国益を考えずただただ大国にすり寄るだけの外交を展開すれば、日本の国益の巨大な毀損は確実なものとなるのだ。ましてやバイデンからトランプへと米国の各種政策方針が反転する状況下では、対米追従による国益毀損はさらに肥大化することとなる。

おおよそトランプは「アメリカファースト」を主張し、同盟各国に、防衛力や消費(あるいは需要)についてのアメリカ依存を辞めるように仕向け、同盟各国が自発的に防衛力や消費(需要)を高めるように主張している。

そんなトランプに対して、防衛や経済についての「自立」を何も考えずに、ひたすらアメリカにすり寄り依存し続けるような外交が続けば、日本はアメリカが提供する防衛力や消費(需要)を、これまで以上の「高値」で購入しつづけざるを得なくなるのだ。

つまり、岸田流の依存一辺倒の媚米外交は、バイデンには一定通用してもトランプには全く通用しないのであり、それにも関わらず、自国の自立性と高めず、ただただ依存し続ける姿勢を継続されれば、日本はより激しく搾取される他なくなるのだ。

だからこそ、日本は“アメリカファースト”を掲げるトランプ大統領、ならびにバンス副大統領が率いる米国(以下、「米トランプ/バンス体制」と呼称する)に対して「自主独立」の姿勢を打ち出しながら対峙していかねばならないのである。

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京都大学大学院・工学研究科・都市社会工学専攻教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長。1968年生。京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員,東京工業大学教授等を経て現職。2012年から2018年まで内閣官房参与。専門は、国土計画・経済政策等の公共政策論.文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞等、受賞多数。著書「プライマリーバランス亡国論」「国土学」「凡庸という悪魔」「大衆社会の処方箋」等多数。テレビ、新聞、雑誌等で言論・執筆活動を展開。MXテレビ「東京ホンマもん教室」、朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、KBS京都「藤井聡のあるがままラジオ」等のレギュラー解説者。2018年より表現者クライテリオン編集長。

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【著者】 藤井聡 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 土曜日

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