出口なき行き詰まりが増幅させる苛立ち。怒りと憎しみに覆われた“トランプ時代”から全人類を救う日本古来の「智慧」とは?

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「理性的であるはず」の先進国の指導者や国民たちが、他者に対する怒りや憎しみの感情を露わにして憚らない現代社会。このような状況が人類にとって悲劇的な結末を招くことは想像に難くありませんが、我々にそれを防ぐ手立ては残されているのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、考古学者や科学ジャーナリストらの著作を紐解きつつ、その方法を模索しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:トランプの「怒りと憎しみの政治」を超える思想はアジアから立ち現れるのか?/オールソン「生物互恵」論に注目

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

今こそ日本人が掲げ欧米の人々と結べ。トランプの「怒りと憎しみの政治」を超える思想

先週の本誌は、トランプ政権を突き動かしているのは「怒りと憎しみ」の政治であることを論じた。

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これは独り米国だけのことではなく、西欧主要国や旧東欧諸国でも移民への憎悪を煽る極右勢力が台頭し、あのドイツでさえもネオナチ政党が第2党に躍進するという仰天の事態が生じていて、水野和夫の言う「資本主義の終焉」に直面していわゆる“先進国”がいずれも先行きを見失ってダッチロールし始めていることが見て取れる。

華やかで贅沢な暮らしはいつまでも続くものではなく、それを支えていた「フロンティア」という名の植民地的な搾取・収奪の最前線がもはや地上に存在しなくなればたちまち萎み始めるのは、理の当然である。宇宙に目を向けたところで、月や火星に鉱物資源は埋まっているかもしれないが、それを掘り出して地球にまで持ち帰るコストはそれこそ天文学的で、お話にならないし、何より、搾取して超過利潤を生み出すべき労働力としての人間もしくは他の生物がいないので、少なくとも今のところ、宇宙はフロンティアとはなり得ない。

そのため今度は、物理的限界がない電子空間に注目し、その中で予め仕組んだアルゴリズム同士が10億分の1秒差の勝ち負けを争う電子的カジノ資本主義が生まれたが、それはそれだけの装置やシステムを用意できる極少数者の間のゲームにすぎず、資本主義全体にとっては一時の苦悩を紛らわすためのカンフル注射のようなものでしかない。

出口のない行き詰まり感が「苛立ち」を生み、「怒りと憎しみ」を増幅させる。その具体的な戯画的表象がトランプなのである。

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