安倍氏銃撃犯の動機が大きく影響。メディアが旧統一教会「解散命令」の根拠に“献金被害”を強調する理由

 

「酔醒漫録」──3月21日~3月27日(日本社会のカルト化、通訳案内士の役割、生活保護受給者が倍増など)

3月21日(金)

アメリカのCNN、NBCは、3月19日にトランプ政権が在日米軍の強化計画の中止を検討していると報じた。連邦政府の再出削減の一環で、人員や組織の縮小で約11億ドル(1,650億円)の予算削減を見込み、日米の「統合軍司令部」発足も見直す可能性がある。連邦議会の下院、上院軍事委員長は反発、連名で声明を出したと『日本経済新聞』3月21日付け。日米同盟のいっそうの深化は、実際に進行する戦争準備体制の整備だ。

気がかりなのは、社会そのものが『カルト性』を帯び始めていることだ。

自分たちが絶対に正しく、批判する者を悪だとする考え方や、思うようにいかないと、自分たちを被害者だと主張し、陰謀論に走る姿勢。こうした特徴が、社会全体に見え始めている。

と『朝日新聞』3月21日付けで江川紹子さん。ネトウヨだけではない。ネトサヨもまた劣化が進む。ネット社会がそうした精神構造を昂進させている。

3月22日(土)

「死ぬのはいいけど、痛いのは嫌だな」ある老作家の言葉だ。しかし本書で語られるのは、拷問のような激痛の中で生を終えた人である。

血液透析よりも負担が小さい「腹膜透析」によって穏やかな死を迎えた女性の事例が紹介され、希望が残る。

堀川惠子『透析を止めた日』の書評は『毎日新聞』3月22日付け。オウム真理教が1995年11月にクーデターを起こす計画だったとNHKスペシャルが報じた。これをどう評価するか。

  1. 新資料や海外取材など、さすがNHKと思った。
  2. 押収された早川紀代秀ノートに「11月戦争」と書かれていたことは『文藝春秋』が事件当時に報じていた。
  3. 「11月戦争」を別の信者も認めたことは、教団上層部の共通認識だったのだろう。
  4. 問題はそれが本気だったと評価するかだ。サリン製造70トン計画はあったが実現しなかった。旧ソ連から購入したヘリは飛べないものだった。
  5. 「11月戦争」から帰納的に「クーデター計画」だったとは読める。
  6. どこまで本気だったかを判断する必要があった。井上嘉浩たち麻原彰晃周辺に真相を聞くべきで、教祖以外の死刑を執行したのは間違いだ。

露木康浩前警察庁長官は、「教団は本気で国家転覆を企てていた」と『日本経済新聞』3月22日付けで語っている。私もそう書き、語ってもきた。

しかし麻原彰晃の誇大妄想や陰謀論がどこまで現実のものとして進んでいたのか。いまだ解明すべき課題は多い。今日で強制捜査から30年。霊感商法被害弁連の全国集会に出席――(本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2025年3月28日号の一部抜粋です。ただ今ご登録いただくと連載「統一教会解散命令決定を読み解く」の続き、有田芳生さんの日々の行動を綴った「酔醒漫録」のコーナーもすべてお読みいただけます。初月無料です)

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image by: Robert Granc, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

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ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。1995年から2007年まで、日本テレビ「ザ・ワイド」に12年間レギュラー出演。2010年には民主党から立候補、参議院議員となり、北朝鮮拉致問題、差別、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。「北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実」(集英社新書)、「改訂新版 統一教会とは何か」(大月書店)など、著書多数。

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