16年前に始まっていた隠蔽計画。解散命令を見越し清算後の財産移転先を決めていた旧統一教会の巧妙

moon2
 

3月25日、旧統一教会に解散命令を下した東京地裁。これを不服とし高裁に即時抗告した教団側ですが、すでに「解散」を見越した手は打ってあったようです。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』ではジャーナリストの有田さんが、16年前に旧統一教会が清算後の残余財産の移転先として指定した天地正教の「正体」を詳しく紹介。さらに教団が2009年に財産の引き受け先を決めるに至った背景を解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:旧統一教会の財産隠し計画は16年前にはじまっていた(上)

16年前に始まっていた旧統一教会の財産隠し計画。「移転先」に指定されたのはいかなる団体か

旧統一教会(=世界平和統一家庭連合)は、教団の解散を想定して2009年、すでに16年前に清算後の残余財産の移転先を決めていた。3月25日に東京地裁が教団に解散命令を決定したが、その決定文(116ページ)にはこう書かれている。

利害関係参加人(教団のこと:有田注)は、平成21年(2009年:有田注)6月23日、責任役員会及び評議員会議において、残余財産の帰属先について、北海道帯広市に主たる事務所を置く宗教法人である天地正教とする決議を行った(規則30条。法50条参照)。

天地正教とは何か。この法人は弥勒菩薩を本尊として北海道帯広市西16条南5丁目34番21号に設立され、1987年11月26日に北海道知事によって宗教法人として認証された。教主は川瀬カヨ氏で、もともとは1957年秋に啓示があり天運教を設立したという。

川瀬氏は1970年代に統一教会に入信したが、それは2代目教主となる三女の新谷静江氏の影響だった。新谷氏は1978年2月12日にニューヨークで行われた合同結婚式に参加している。このとき15組の日本人が文鮮明教祖夫妻のもとで「既成祝福」を受けた。これは一般社会で結婚した夫婦が、統一教会に入信したあとで合同結婚式に参加したことを意味する。

天運教は1988年1月14日に天地正教に名称を変更した。のちに新谷静江氏が東京地裁に提出した陳述書(2006年10月16日付け)によれば、天運教の宗教法人化も名称変更も統一教会の「要請」によるものだった。「三度も断りました」が「神様とお父様(文鮮明氏)の願いですからと熱心に頼まれ、当時私も関わり申請を行い、認証を受けました」。なお教団の機関紙である『天地新報』(1994年1月1日号)によると、本尊である弥勒菩薩とは文鮮明教祖のことだという。

天地正教はいま金子国雄氏が代表役員だ。金子氏は1975年に韓国で行われた1,800組の合同結婚式に出席している。こうして天地正教は設立のときから統一教会と一体の宗教団体になっていたのである。

この記事の著者・有田芳生さんのメルマガ

有田芳生さんの活動を支援する

 

print
いま読まれてます

  • 16年前に始まっていた隠蔽計画。解散命令を見越し清算後の財産移転先を決めていた旧統一教会の巧妙
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け