日本のコメをめぐる矛盾は「農業の大規模化」でしか解消できない
江藤前大臣がかつて、自民党の農林部会長に就いた小泉氏に対して「お前なんか嫌いだ」と言ったというのも、恐らくはこの矛盾に関係しています。少なくとも党の部会長として農政に取り組んだ小泉氏は、この矛盾をしっかり指摘してきました。生産者側の江藤氏としては不愉快なことに違いありません。
さらに言えば、自民党の森山裕幹事長は「安ければいいというものではない」とか「お米を引き続き作っていこうと思っていただけるためには、再生産ができる価格でお米が売買をされるということが大事なことなのだと思います」などと述べています。それこそ、江藤氏の地元である宮崎県での発言です。
「5キロで4500円」という価格に消費者が激怒している中で、この発言が飛び出すというのは炎上覚悟のようでもあります。ですが本当は、生産者側として実際に、今の価格でやっと安心、ここから下げるなどとんでもない、という感覚を持っているのだと思います。
米価に関しては、生産者側がハチマキを巻いて農林省(当時)の前に座り込み、米作地帯出身の議員たちが活動して、「生産者米価」引き上げの圧力を行使してきたという戦後の長い歴史があります。
その一方で、あまりに「消費者米価」が高くなると、今度は消費者が怒って都市部の議員が落選してしまうわけです。そこで、かなり長い期間、
「生産者米価が消費者米価より高い」
という奇怪な状況が続いていました。つまり、政府が米を生産者から高く買って、消費者に安く卸していたのです。これこそ米価の大矛盾というわけです。要するに市場価格に対して、税金で上乗せをして農家にカネを流していたのです。
この矛盾には解決法があります。
それは農業の大規模化です。減反政策や離農の増加により、耕作放棄地が加速度的に増えています。そうした耕作放棄地を、入れ替えなどをして広大な敷地に整理するのです。
その上で徹底的な自動化、給水を含めて電子制御による省人化とデータを活かした効率化を実施するのです。そうすれば、農業従事者一人あたりの収入を増やしながら、米価を一定に保つことが可能になります。。(次ページに続く)