小泉進次郎コメ担当大臣が暴くJA全農の「本当の罪」とは?農業の大規模化でしか「日本人が日本米を食べられない未来」を回避できぬ理由

 

JA全農が忌み嫌ってきた「アメリカ米」の知られざる正体

例えば、カリフォルニアの日系人の場合は、半世紀以上にわたって、砂漠地帯で日本米に近い食味の米を大量生産しようと苦闘してきました。大雑把に言うと、その成果は2種類あります。

まず、最初に苦労したのは国府田(こうだ)ファームといって、それこそカリフォルニアの砂漠地帯で、何とかジャポニカ米(短粒米)に近い米を生産しようと頑張ったのでした。

彼らの解決法は、形の細長いタイ米やメキシコ米などに近い「ロンググレーン」とジャポニカ米をかけ合わせることで、砂漠地帯での大量生産に向く品種を作ることでした。これが国宝ローズという名でアメリカの日系社会ではおなじみとなった「中粒米」です。

香りや食味はジャポニカ米には劣るものの、よく注意しなくては差が分からないくらいの品種です。今、日本に入りつつある「カルローズ」はその改良版です。

もう1つ、後発の農園が、田牧ファームです。こちらは直まき農法、給水システム、機械化などを徹底的に見直しつつ、品種改良を徹底することで、「アメリカの大地でジャポニカ米(短粒米)を大量生産」することを目指しました。そして、90年代にこれに成功したのです。

1980年代の貿易摩擦の頃からそうですが、国府田さんや田牧さんの農園の製品こそが、アメリカ政府が日本に輸入を迫った「アメリカの米」でした。

これに対して、外圧に屈したとして「イヤイヤ」ミニマムアクセス米として輸入を開始して、本当は食べられるのに「糊の原料」にしていた際にも、こうした日系ファームの米が入っていたのでした。

JA(全農=昔の農協中央会)は、こうした「アメリカ米」を目の敵にしていました。その背景には、仮に全面的にアメリカ米が入ってきたら、日本の米作は価格で敗北してしまうという危機感がありました。(次ページに続く)

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