小泉進次郎コメ担当大臣が暴くJA全農の「本当の罪」とは?農業の大規模化でしか「日本人が日本米を食べられない未来」を回避できぬ理由

 

小泉大臣はコメの大規模大量生産に反対する抵抗勢力に勝てるか?

自民の森山幹事長は「持続可能な米価」などというレトリックで高い米価を正当化しようとしていますが、そもそも現在の農家自体が「まったく持続可能ではない」存在です。このように零細なまま、政治的な無理によって保護されたままでは、そこには将来はありません。

小泉新大臣は、まず備蓄米の流通を徹底的に見直して、収穫から年数を経た米などは「減価償却されている」という理屈で、5キロ2000円という水準で供給したいとしています。

これに対して生産者側は「消費者が今後も5キロ2000円で買いたいと思っているのなら、米作は崩壊する」として激怒しています。

まさに米価の矛盾、ここに極まるという感じです。ですが、もう一度申し上げますが、この矛盾には解決法があります。

日本の消費者が安心して日本の短粒米を食べ続けることができ、日本の農業が世代交代に成功するには「大量生産」による「大規模化」しか解はないのです。全農に悪意はなくても、彼らの利害は消費者の利害と「完全に敵対して」いますし、5年後10年後の日本の農業、日本の米作を守るという観点でも、彼らの立場は間違っています。

小泉氏は、万年青年のイメージがありますが、すでに44歳です。恐らく、ここが勝負どころだと思います。今、多くの利害関係に取り囲まれて農政改革ができなければ、もう二度とチャンスはないかもしれません。失敗すれば、政治生命は断たれるかもしれませんが、今こそ勝負をかけるべきです。丁寧に説明すれば世論は理解すると思います。

「5キロ2000円」は、選挙目当ての消費者対策に見えます。ですが、仮にこの水準が現在の日本の消費者が耐えうる平均値であるのなら、それでも生産者の利益が出るような構造的な改革が必要です。それには、大量生産と大規模化しかありません。

この問題で小泉氏が仮に世論を味方につけるのであれば、その上で成果を出せるのであれば、政権を担当して長期にわたって国政を安定させることも可能かもしれません。今が勝負のときです。大相撲の世界では大の里関が史上最速で横綱昇格を確定しましたが、この「ワンチャンス」と同じことです。小泉氏には政治生命をかけるリスクを取って、一気に踏み込んでいただきたいと思います。

【関連】お米の「大規模大量生産」は日本の敵か味方か?令和6年米騒動とアメリカの関係…わが国経済・食文化・食料安全保障の死守ラインを考える(冷泉彰彦)

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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