小泉進次郎コメ担当大臣が暴くJA全農の「本当の罪」とは?農業の大規模化でしか「日本人が日本米を食べられない未来」を回避できぬ理由

 

零細農家を保護するかぎり「日本人が日本米を食べられない」未来は避けられない

そんな中で、今回の「令和の米騒動」が起きたのです。この極端なコメ不足、消費者米価の高騰がなぜ起きたのかというと、次の3つの要因があります。

(1)零細な兼業農家の多くは団塊世代が支えており、彼らが80歳というラインに近づくことで廃業していったから

(2)長年続いた国の減反政策の結果、そもそも米作耕地の削減が続いていたから

(3)米価低迷に悩む全農は、日本米ブームに乗じて日本米の輸出キャンペーンを拡大していたから

この3つが複合要因となって起きたのが「米騒動」です。ちなみに、「インバウンド観光客が消費した」というのは主要な原因ではありません。外国人観光客が「くら寿司」に大行列したからといって、彼らの食べる量はたかが知れているからです。

上記のうち(3)に関しては、日本国内でコメ不足が社会問題化して以降も、アメリカの日系・アジア系の食料品スーパーでは「全農フェア」など、明らかに全農が後援する格好でのセールが行われています。全農としては、中長期的な円安トレンドの中で、米を輸出に回してドル建ての売上を確保し、生産者米価を支えることは悲願であり、理解できる動きです。

その結果として今現在、アメリカでの最安値は「日本産のブランド米が5キロで19ドル99」つまり「2900円」です。内外で価格が逆転していますが、これは、日本国内の価格が投機筋によって歪められているからと考えられます。

ちなみに全農が、意図的に日本国内は高くして、海外には安く出すというような「悪どいこと」をしているのではないと思います。

いずれにしても、現在のトレンドとしては、中長期的には「短粒米(ジャポニカ米)」の良品は、国内では高級寿司店や料亭に回り、その他は輸出に回ることになりそうです。その代わりに、カルローズなどの米国産(カリフォルニアとアーカンソー)が少し安い値段で、外食や個人消費に回るという流れです。

つまり、日本人が日常生活としては、日本米を食べられないという本末転倒が起きつつあります。では、どうしてこんな「冗談ではない」ような事態になっているのでしょうか?それは、全農は何としても、零細な兼業農家のために米価を押し上げたいからです。ですから、安定的に高値で売れる輸出を優先しているのです。(次ページに続く)

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