“依存AI”の実験場「TikTok」
次世代の動画配信ツールとして、若年層に大流行している「TikTok」は、もっとえげつない。
アプリを使いはじめると、すぐに嗜好性や潜在欲求がデータ分析されて、その人が思わず見入ってしまう短尺動画が、次から次へと表示されるようになる。
動画を配信する側も、ほかのアプリに比べて、視聴者数や「いいね」の数が圧倒的に多いので、たちまち承認欲求が肥大化して依存してしまう。

TikTokの画面。 ライブ配信者がずらりと並ぶ。
また、ライブ配信者どうしで、制限時間5分での「投げ銭の多さ」を競うライブバトルという仕組みがあるのも「TikTok」の特徴だ。
配信者はあらかじめ、視聴者を集めておき、バトルがはじまったら、「さあさあ投げて投げて!」「もっとだ、もっとだ!」「いいぞいいぞ!」「来い、来い、来い!!」と半狂乱で絶叫しまくって視聴者を煽り、投げ銭をさせまくる。

TikTokバトルの様子。 画面上段の男性と女性が、それぞれ自分の視聴者に対して投げ銭を煽っている。
バトル後は、投げ銭額の多かった順に「貢献者」としてランキングが表示され、配信者から感謝されたり、他の視聴者から一目置かれたりするので、刹那の承認欲求が満たされるらしい。
高額の投げ銭をしてバトルを白熱させたり、劣勢だった配信者を勝たせて参加者を驚かせたりする「投げ師」と呼ばれる人間もいて、イベント週間になると、何十万、何百万と使う人がごろごろ現れる。
10日間のイベントで、投げ銭に1億円を使ったという男性の顔を見たが、30代半ばのベンチャー企業社長だった。
もちろん、飛び交った投げ銭は、半分以上が「TikTok」の売り上げになる。
「TikTok」を開発したのは、中国のITベンチャー・バイトダンス社だ。
バイトダンス社は、動画配信サービス業として事業をはじめたのではなく、当初から「AI開発」の企業だった。
開発テーマは、人間をいかにスマホアプリに長時間釘づけして、依存させることができるのかというもので、視線や反応、欲望、承認欲求などを組み込んだ実験成果の1つが、動画のライブ配信機能だったということだ。
昨年1年間の売り上げは1450億ドル以上、そのうち379億ドル(5兆4000億円以上)が、「投げ銭など」による売り上げと公表されている。
YouTubeもそうだが、どこまでも承認欲求を刺激しながら、ガンガン海外にカネを送金してしまうアプリなんか、危険と認識してさっさと規制しろと言いたくなる。
このように、ライブ配信は、カネと精神を巻き上げるための世界だ。
そこに無自覚にはまり込んで、“承認サロン”に居場所を求める政治家は危険だ。 政治は、誰かを推すゲームではない。 「ポピュリズム」という単語の枠では済まされない、地獄の入り口である。(その2に続きます)
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image by: たまき雄一郎オフィシャルサイト









