当初、日本側が50:50と提案したのは、米国側と対等な立場でプロジェクトの経営に関わり、事業が成功した際には、大きな利益を得たいから、そう提案したのです。
トランプ氏が日本の株の持分を10%に下げたがったのには以下の二つの意味があります。
- プロジェクトの運営には口を出して欲しくない
- プロジェクトが生み出す利益の大半を米国が受け取りたい
米国が必要としている、半導体・エネルギー・レアメタル・AIなどのプロジェクトには莫大なお金がかかり、かつ、大きなリスクが伴いますが、もし事業として成功させることが出来れば、何兆円、何十兆円という規模の莫大な利益を生み出す可能性を持っています。GAFAMの後を担う企業がそこから生まれても不思議はありません。
トランプとしては、これらのプロジェクトが生み出す利益を可能な限り米国のものにしたい、経営権も米国側で握っておきたいからこそここにこだわったのだと思いますが、起業経験もない官僚出身の赤澤氏には「株を持つこと」のメリットが感じられず、そこを思いっきり譲歩してしまったのでしょう。
ちなみに、トランプ政権は同様の合意をEUと結びましたが、「利益の90%を米国のものにする」という条件が入っていない点には注目すべきです。つまり、株の持分に関して、ここまで譲歩する必要はなかったのです。
【追記】韓国との合意にも利益の分配に関する記述は見当たりません。
(本記事は『週刊 Life is beautiful』2025年8月5日号の一部抜粋です。「Teslaの半導体戦略」や「私の目に止まった記事(中島氏によるニュース解説)」、読者質問コーナー(今週は10名の質問に回答)などメルマガ全文はご購読のうえお楽しみください。初月無料です ※メルマガ全体 約1.5万字)
【関連】中島聡のアイディアと生成AIが可能にする、視聴者に価値ある情報だけを届けるシステム「おかえりなさいテレビ」の画期性
【関連】中島聡が大胆提言。日本企業はAI・ロボット時代でも世界に存在感を示すことが可能な「2つの戦略」で勝負せよ!
【関連】中島聡が考えた、人類の大半が「社会のお荷物」になるAI失業時代の社会保障。ベーシックインカムより幸福な制度をつくろう
image by: The White House - Home | Facebook









