世界を襲う「混乱の大波」に備えておくべき日本政府
世界は確実に分裂・分断を深めています。
これまでは、それでも「欧米とその仲間たち」という軸と、「中ロを核とした国家資本主義および独裁体制の仲間たち」という軸が対峙し、そこに第3極としてのグローバルサウスが、実利主義に基づく緩やかな結びつきでシェアを拡げるという三つ巴の様相を呈していましたが、欧米の分裂が加速し、欧州の対米不信が表明され、欧州の中ロへの最接近が顕著になる中(今週のスターマー英首相の中国訪問、それに続くドイツ・メルツ首相の中国訪問、さらにメローニ首相の「そろそろロシアとの対話を再開すべき」という発言など)、“西側”ブロックの結束は乱れていますし、中ロ間もつかず離れずの関係が続いており、どこも安定的な関係を維持できていません。
また反イスラエルで一枚岩となりかけていたアラブ諸国とイラン、トルコのグループも、イエメンにおける対立に端を発したサウジアラビアによるUAE権益への空爆、UAEのイスラエルへの再接近、UAEの対イラン強硬姿勢の復活など、中東地域も荒れています。
それぞれに自国の生存を最優先しつつ、自国の影響力とプレゼンスの拡大を図っており、その結果、とても不安定で脆弱な環境が表出しているように感じています。
特に今年はアメリカでは11月3日に連邦議会中間選挙を控えていますし、イスラエルも総選挙が行われることになっています。また欧州も4月にスロベニアとハンガリーで議会選挙が行われ、5月にはアイスランド、9月にはスウェーデンと議会選挙、10月にはボスニアヘルツェゴビナ議会選挙、そして12月にはブルガリア大統領選挙が続きます。
さらには10月にはブラジルの大統領選挙が行われ(10月4日)、まさに世界は選挙イヤーとなり、それぞれがどうしても内向きの政策を取りがちになるのは仕方のないことなのですが、その間に国際情勢は荒れ、紛争は長期化し、悲劇が繰り返される恐れが高まります。
2027年になったら世界は安定するかと言えば、それも謎です。
「欧州がアメリカの庇護から独立し、独自の防衛を築く必要がある」と主張するフランスのマクロン大統領も2027年春には大統領選挙を控えていますし、その前に2026年中に下院が解散され、予算審議がストップするという事態が予想されているため、フランスも、口先では大見得を切っても、国際フロントでは何一つ貢献できないというジレンマに陥る可能性が高いと思われます。
フランスが機能不全に陥ったら、最大のパートナーと言われるドイツも“また”一国で欧州全体を支えないといけない状況に陥りますが、それが顕著になりつつも、支えてきたメルケル首相時代と違い、ドイツでも極右勢力が台頭し、国内の経済も好調とは言えないことから、欧州連合の機能不全、または瓦解の可能性も高まるのではないかと予想されます。
今、世界中で見受けられる混乱と不安定要因の拡大は、もちろんトランプ大統領の台頭と予測不能な言動と行いに帰するところはあるものの、彼の政権が終焉すれば元通りの“多国間協調主義”に基づく世界に戻るかと言えばそれは期待できず、ここ最近、深まる世界の分断と分裂の波はドミノのように止まることなく、世界秩序を大きく変えていくのだと予測します。
その混乱し、漂流する国際社会と国際情勢の中で、日本はどのような立ち位置を築き、役割を果たすのか?
日本でも選挙の争点にはなりませんが、早急に明確なビジョンを築き、来るべき混乱の大波に備えておくべきだと感じています。
以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2026年1月30日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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