外交担当者も「チンピラのゆすり」と証言。トランプが日本企業を個室に呼び出した夜の全貌

 

80兆円「投資」の驚愕の正体

高市早苗は、先日の訪米で「対米投資第2弾」なるお土産をトランプに献上していたが、この「投資」もわけがわからない。 もともとは、石破政権時代にトランプが「関税を25%に引き上げる」と脅迫したことが発端で取り決められたものである。「格下も格下」と自称する赤沢大臣が、アメリカに対してへりくだりにへりくだって、「80兆円規模の対米投資」を約束して帰ってきた。

投資第1弾は、ガス火力発電所建設、原油輸出港建設、半導体用の人工ダイヤモンド製造など5.5兆円。

そして、先日の高市訪米で発表した投資第2弾は、小型原発建設、天然ガス発電施設、アラスカの原油施設建設、レアアース事業などで11.5兆円だ。 この後も第3弾、第4弾と続くらしいが、それぞれ日本の企業がアメリカの企業と共同で建設するというプロジェクトである。そのためのカネの多くは、日本政府系の金融機関が出す。

ざっくり言うと、日本国民の税金と国の借金(将来の国民負担)を原資にした政府系機関からカネを捻出し、そのカネでアメリカのインフラを整備する。雇用はアメリカで生まれ、利用するのもアメリカだ。 だが驚くべきことに、この投資によって得られる利益の配分は、日本が元本を回収するまでは「日本50%、アメリカ50%」とされているものの、回収後は、利益の90%をアメリカが得るという仕組みになっている。

さらに異様なのが、どこのどんな事業に投資するかは、最終的にトランプが決定するという点だ。しかも、決定されたら、日本は45日以内にカネを出さなければならず、出せなければペナルティが課されることになっている。

「投資」とは、本来、投資する側が、どの事業がどんな利益を生み出しそうか吟味して金額を算定し、出資額やリスクに応じて利益が配分されるものだ。多く出資した人には利益も多く配分される。 ところがこの仕組みでは、日本が最初に巨額のカネとリスクを引き受けて、使ったカネの回収が済んだら、利益の大半はアメリカのものになる。

これを「投資」と呼ぶのはかなり無理があるし、日本の国民に対する誤魔化しではないのだろうか?

そもそも、日本企業が建設を引き受けるのは、アメリカが自ら推進してきた新自由主義・グローバル化によって、製造業を弱らせてしまい、自力で建設する技術がないからだ。

つまり「自分でできないから、日本の力を貸して欲しい」という話なのだから、わざわざイラン攻撃という最悪のタイミングで「ドナルドだけ♪」などと言いながら、手土産のように発表する必要はなかった。逆に、「国際法違反の戦争を引き起こした上に、ホルムズ海峡封鎖に至っている以上、投資は続けられない」という交渉だってあり得たのではないか。

「路地裏チンピラのゆすり」の現場

しかも、「投資」が決められた現場の話が凄まじい。 イギリスの経済紙「フィナンシャルタイムズ」が報じた特集記事「トランプによる日本企業への5500億ドル”ゆすり”の内幕」によると、昨年10月、トランプが訪日した際に、日本企業のトップらが東京のホテルの個室に呼び出された。そして、本来ならば数か月かけて調査してから決定するはずの契約を、今日ここで決断するよう迫られる状況になったという。

ほとんどの企業は、「これを拒否すれば関税を25%に上げる」という圧力に晒されていて、とても国家間での事業交渉とは思えない、乱暴な契約の結ばせ方をさせられたようだ。

過去には、アメリカに言われて投資したものの、日本が大きな損失を被った例がいくつもある。 途中で工事が止まることも珍しくないし、政治体制が変わる、世界情勢の変化でコストが大幅に跳ね上がることもある。建設先の自治体が抜けてしまい、プロジェクトそのものが崩壊してしまった例もある。本当に工場が建つのかどうかあやしく、リスクが大きすぎて話に乗りたくないという企業もあったらしい。

ある日本企業のトップは、この日の出来事を「ゆすり」と表現し、現場を見ていた外交担当者は「路地裏のチンピラまがいのやり口(street-level tactics)」と表現している。 さらに、その後の夕食会では、企業のトップらが、すでに署名された書類を持たされて、テレビカメラの前で、ひとりずつトランプの隣に立って写真を撮るように言われたらしい。自分が何の書類に署名させられたのかも正確に理解できていないままの人もいたという。

民間企業の社長なのだからそんなの情けない、嫌なら断ればいい話だという見方もあろうが、そもそも日本人はどこまでも見下され、一方的に従わされるような構図でもあるのだ。

案の定、その後すぐにイラン攻撃が始まり世界はむちゃくちゃ。そして、日本企業との窓口であるラトニック商務長官が更迭かというニュースが入ってきている。

こんな実態では、大企業を優遇するために円安を維持する方向へますます傾き、庶民の生活は苦しくなる一方ではないかと心配になる。

この記事の出典元・小林よしのりさんのメルマガ

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